日大2年ぶり箱根 前回予選落ち…古豪再建へ前進

[ 2012年10月21日 06:00 ]

1位でゴールする日大・ベンジャミン

第89回東京箱根間往復 大学駅伝競走予選会

(10月20日 陸上自衛隊立川駐屯地~国営昭和記念公園の20キロ)
 前回予選落ちした古豪・日大が7位で本大会の出場権を獲得した。エースのケニア人留学生、ガンドゥ・ベンジャミン(4年)が全体トップの57分47秒でチームをけん引。名門再建への一歩を踏み出した。エース村沢明伸(4年)が左アキレス腱痛で欠場した東海大は12位で、本戦出場が40年連続で途切れた。

 まさかの予選落ちから1年。7位で出場権獲得のアナウンスが響くと、秋晴れの昭和記念公園に日大のチームカラーのピンクの旗が揺れた。佐藤主将は「昨年は悔しい思いをした…。みんな昨年よりタイムを上げてくれた」と言って、むせび泣いた。

 エースが引っ張った。ベンジャミンは山梨学院大のモグス(07年57秒1秒、05年57分22秒)以来2人目の57分台となる57分47秒をマークした。昨年は終盤失速して4位に終わったが、2位に1分20秒もの大差をつけて、ぶっちぎりでゴール。最上級生の意地を見せ「最後だから箱根を走りたかった」と喜んだ。エースの奮闘に仲間も続き、10番手の選手も1時間2分台前半でしっかりまとめた。

 11年1月の本大会で最下位に沈んだ。その後、実業団のダイハツで93年世界選手権女子マラソン金メダルの浅利純子を育てた鈴木従道氏(67)が監督に就任。名将に再建を託した。しかし、前回の予選会は10位以内に3人入りながら、総合11位で出場権獲得に失敗。優勝12回の名門は「地に落ちた」(鈴木監督)。

 屈辱の予選落ちで、選手の意識が変わった。以前の夏合宿では30キロも走れなかったが、40キロ走を2回こなせるまで走力が上がった。夏場でも体を冷やさないように靴下やジャージーの着用を徹底させるなど、佐藤主将は「嫌われ役になって、口うるさくやってきた」と生活面も見直してきた。前回は「甘く見ていた」と細かい指示を出さなかった指揮官も各選手の目標タイムを設定し、「目標通りに走れた」と頬を緩めた。

 2年ぶりとなる正月の箱根路。「シード権(10位以内)を獲りたい。できると思う」。名将の視線は7位だった09年以来4年ぶりのシード復活を捉えていた。

続きを表示

この記事のフォト

2012年10月21日のニュース