大型台風で異例の無観客試合!午前6時決定で大混乱

[ 2012年10月1日 06:00 ]

男子ゴルフツアーコカ・コーラ東海クラシック最終日

(9月30日 三好カントリー倶楽部西コース=7315ヤード、パー72)
 台風17号の接近に伴い、安全確保のために観客を入場させない異例の措置が取られた。無観客試合は、日本ゴルフツアー機構(JGTO)が発足した1999年以降では初めて。初体験の選手たちはそろって張り合いのなさを口にした。静寂のなかで行われた異例の大会は、H・W・リュー(31=韓国)が通算6アンダーで並んだ片山晋呉(38=フリー)とのプレーオフを1ホール目で制し、ツアー初優勝を果たした。

 バーディーを取っても歓声がない。ボギーを叩いても、ため息すら漏れない。トーナメントでは考えられない、異様な光景が繰り広げられた。台風17号接近に伴う無観客試合。コース上には役員、関係者だけの異例の事態に、石川は「いいバーディーでも拍手がパラパラで、アレっという感じ」と拍子抜けの様子。池田も「やる気が出ない。俺らは見せるのが仕事だから」と、釈然としない様子だった。

 大会を主催する東海テレビの加藤昭宏事業局長は苦渋の決断だったことをにおわせた。この日早朝、最も影響が出るとされた午後6時頃までに観客、選手、スタッフが安全に帰宅できるかなどを議論。観客を入れた場合、5時間はかかると考えられた大型ビジョンなどの完全撤去が台風襲来に間に合わない可能性が浮上。安全確保を優先し、午前6時に無観客を決定した。

 その一方で、主催者の対応の遅れも浮き彫りとなった。前日の段階で無観客試合の可能性を告知しなかったため、それが混乱を招いた。決定から30分後の午前6時30分、既に開場を待つギャラリー約100人が100メートルほどの長い列をつくっていた。突然の通達に、名古屋市在住の50代の女性は「朝にテレビで大会CMを流しながら、これはない」と激怒。チケットの払い戻しもなく「詐欺だ。泥棒だ」と怒鳴り込む女性もいるなど、一時騒然となった。

 携帯電話の着信音やカメラのシャッターなど、ギャラリーの心ない妨害に悩まされることはなかったが、この日出場した選手のほとんどは張り合いのないことを認めた。石川が「やり切れない気持ちです」と語ったように、後味の悪さだけが残る最終日となった。

 【主な無観客試合】

 ☆女子ゴルフ(07年7月 スタンレー・レディース) 台風接近により、最終日の競技を中止。首位で並んでいた上田桃子、横峯さくら、有村智恵が観衆がいない中でプレーオフを行い、上田が勝利。

 ☆プロ野球(08年3月 阪神と巨人の練習試合)甲子園球場のリニューアル工事に伴う措置。観客席は工事段階だったが、グラウンドは使えたため開設84年目で初の無観客試合を実施。

 ☆サッカー(05年6月 W杯アジア最終予選日本VS北朝鮮)イラン戦で主審の判定をめぐり、北朝鮮のサポーターが暴徒化。FIFAは北朝鮮への制裁として中立国のタイで無観客試合を科す。

 ☆大相撲(45年6月場所) 空襲などで大勢の観客を集めて興行を行うことが困難となり、非公開で7日間開催を実施。傷痍(しょうい)軍人などは招待された。

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2012年10月1日のニュース