常幸龍 最速新入幕だ!9勝目で大きく前進

[ 2012年9月21日 06:00 ]

<秋場所12日目>丹蔵(右)を押し倒しで破る常幸龍

大相撲秋場所12日目

(9月20日 両国国技館)
 西十両3枚目の常幸龍(じょうこうりゅう)が丹蔵を押し倒して9勝目を挙げ、新入幕へ大きく近づいた。初土俵から所要9場所での入幕となれば、琴欧洲と阿覧の11場所を抜いて史上1位の記録。勢、千代の国とともに3敗でトップを守り、初の十両優勝も見えてきた。幕内では綱獲りの日馬富士が豪栄道を一方的に下し、初日から12連勝で単独トップをキープ。3場所ぶりの優勝を狙う白鵬は妙義龍を突き倒し、ただ一人の1敗となった。
【取組結果】

 1メートル87、156キロの堂々とした体格を誇る“スター候補”の常幸龍は実に落ち着いていた。新十両の丹蔵に左前まわしを握られたが「右が(相手の脇に)入っていたので安心して相撲を取れた」と焦る様子はなかった。強烈な左おっつけで自らの形をつくり力強く押し倒し。幕内からの陥落力士との兼ね合いにもよるが、西3枚目での9勝目で昇進できるだけの条件を満たし「所要9場所」での最速新入幕に大きく前進した。

 「新入幕に近づいていると思うけど、まだ3日ある。でも、できることなら1桁の9場所で上がりたいです」

 昨年5月の技量審査場所で「佐久間山」のしこ名で初土俵を踏み、序ノ口デビューの名古屋場所から史上1位の27連勝で番付を駆け上がった。今年夏場所に十両に昇進し、09年2月に他界した父・幸一さん(享年51)の名前から1字取って「常幸龍」に改名。期待通りに8勝、10勝と勝ち越し、潜在能力の高さを見せつけてきた。

 幕下までは父・幸一さんの遺影をまわしの中に入れて取組に臨んだが、現在は「締め込みに入れると注意される可能性もあるので、常にかばんに入れている」と明かす。場所後の26日の番付編成会議で新入幕が発表されれば、千葉県内の菩提(ぼだい)寺にある父の墓に報告に出向く予定だ。

 初めて参加した夏巡業では幕内力士による過酷なぶつかり稽古で洗礼を受け「精神的に強くなった」と成長を実感。3敗でトップに並び、初の十両優勝も見えてきた。千秋楽まで残り3日。次世代の横綱候補は十両にも存在するということを証明する。

 ◆常幸龍 貴之(じょうこうりゅう・たかゆき)1988年(昭63)8月7日、東京都北区出身の24歳。本名・佐久間貴之。小学2年から都内の針ケ谷相撲クラブで相撲を始める。埼玉栄高2年時に国体少年の部などで優勝。日大時代は2年で学生横綱。趣味は音楽鑑賞。カラオケも得意で十八番は浜田省吾の「もうひとつの土曜日」。

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2012年9月21日のニュース