栃煌山“18度目の正直”で横綱戦初白星「真っ白だった」

[ 2012年9月19日 06:00 ]

白鵬をはたき込みで破った栃煌山

大相撲秋場所10日目

(9月18日 両国国技館)
 平幕の栃煌山が白鵬をはたき込みで撃破し初金星を挙げた。これまで横綱戦は朝青龍に4度、白鵬に13度挑んできたが、全て黒星。18度目の挑戦にして悲願の白星を飾り、かつて大関候補と言われた25歳が意地を見せた。横綱昇進を目指す日馬富士は高安を下手投げで下し、10連勝で単独首位に。全勝の日馬富士を1敗で白鵬、稀勢の里、旭天鵬の3人が追う展開となった。
【取組結果】

 今場所初めて座布団が舞うなか、栃煌山は土俵上で両肩を震わせた。18度目の挑戦で悲願の横綱初撃破に「自分が(勝って)座布団を舞わせたかった」。勝ち名乗りを受けるときには後頭部に座布団が突き刺さったが、表情を変えることなく28本(手取り84万円)の懸賞の束をつかんだ。こみあげる興奮を抑え、引き揚げてきた支度部屋。「うれしい。勝った瞬間はよく分からない感じ。真っ白だった。でも懸賞が手からこぼれたのは初めて」と笑みをこぼした。

 過去14戦全敗の白鵬戦に向けて考えたことは「右を差されない」「立ち遅れしない」という2点。作戦どおり鋭く立ち、自らが右を差した。焦った横綱が前に出てくるところを左からはたき込み。携帯電話に過去の対戦動画を全て保存し、研究してきた成果が結実した瞬間だった。

 春日野部屋には5人の関取がいるが、厳しい稽古を共にする仲間として角界屈指の結束力を誇る。幕内・木村山は「うちは団体戦みたいなもの。先鋒(ぽう)が(十両の)栃乃若で、きょうは栃煌山が大将」と説明。9日目までは栃乃若が不振を極めていたこともあって全員白星はなかったが、この日は結びを迎えるまでに4人が白星。「自分だけは負けたくないと気合が入った」と大将格として闘志を燃やしていた。

 中学横綱などの実績をひっさげ鳴り物入りで角界入り。大器と期待されながら精神面の弱さが災いし、ここ一番で結果を出せなかった。5月の夏場所。千秋楽の琴欧洲戦を不戦勝でものにしながら、優勝決定戦で涙をのんだ。その全てと向き合い、真面目に稽古を続けてきた25歳がひとつの壁を打ち破った。日馬富士との対戦の可能性が残る終盤戦に向けて「しっかり頑張りたい」と気合を入れ直した。

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2012年9月19日のニュース