日馬富士 品格問題なし!冷静白星発進

[ 2012年9月10日 06:00 ]

<秋場所初日>立ち会い、碧山(右)の激しいのど輪を受けながらも、最後は寄り切りで勝った日馬富士

大相撲秋場所初日

(9月9日 両国国技館)
 先場所全勝優勝を果たし、3度目の綱獲りに挑む大関・日馬富士(28=伊勢ケ浜部屋)は新小結・碧山(26=春日野部屋)を冷静な取り口で一蹴した。協会幹部が課題としていた品格も、この日の取組では問題なし。心も体も大きくなった大関がモンゴル3人目の横綱昇進に向け、好発進した。上位陣では大関・把瑠都(27=尾上部屋)が誤審とも思われる取組で敗れ、協会に抗議電話が殺到した。

 激しい攻防を制して日馬富士が一気に前に出た。圧力に屈した碧山はたまらず土俵を割る。その瞬間、大関は何かを思い出したかのように動きを止めた。闘志の塊のような男は急に表情を和らげると両手で軽く相手のまわしを叩き、静かに勝ち名乗りを受けた。

 2カ月前の名古屋場所初日。この日と同じ碧山に勝負が済んでからもダメを押して、土俵下の審判長から異例の公開説教を受けた。場所2日前にも鏡山審判部長(元関脇・多賀竜)が「品格」について物言いをつけるなど、3度目の綱獲りは成績に加え、土俵態度も評価の対象になっていた。だが、この日は相手の突きを何発も顔面に受けたが、「あそこで冷静になれて良かった」と感情任せにならなかった。相手の動きを見て、もろ差しになる万全の攻めに「勝つとその分、ホッとする。緊張というかドキドキした」ときっぱり。鏡山審判部長は「(ダメ押しを)やるかなと思ったが…。上を目指している以上そうしないといけない」と評価した。

 プロテインを今夏から毎日のように飲んでいる効果もあって体重は先場所から5キロ増量して133キロ。その上、口の中に指を入れて脳を刺激して集中力と闘争心を呼び起こすという独特の技術を持つ「熊本接骨院」(名古屋市内)の東誠之院長(66)を初日前日に都内自宅に呼び寄せるなど、やれることは全てやってから勝負の場所に臨んでいる。

 審判部や横綱審議委員会は「13勝以上の優勝」を昇進の目安にしているが、「力量、品格抜群」の横綱相撲で緊張の初日をクリアした。「一日一番集中して自分の相撲を取れるようにやっていきたい」。駐車場に向かう帰りの花道を歩く大関の表情は充実感に満ちていた。

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2012年9月10日のニュース