アームストロング 異議申し立て放棄…自転車競技から永久追放

[ 2012年8月26日 06:00 ]

自転車ロードレースのツール・ド・フランスで力走するランス・アームストロング=2004年7月

 米国反ドーピング機関(USADA)は24日、ドーピング違反で告発した自転車ロードレースのランス・アームストロング(40=米国)に対し、ツール・ド・フランスの7連覇を含む98年8月1日以降の全タイトルを剥奪し、自転車競技からの永久追放の処分を科したと発表した。

 USADAは6月にエリスロポエチン(EPO)など禁止薬物の使用や血液ドーピングに関してアームストロングを告発。アームストロングは潔白を主張してきたが、23日にUSADAに対する異議申し立てを放棄する意向を表明した。

 アームストロングはかつてがんを克服し、99年にツール・ド・フランス初優勝。05年まで7連覇の偉業を達成した。05年に引退宣言したが、その後復帰。昨年2月に再び引退を表明し、その後はトライアスロン選手として活動していた。ツール・ド・フランスで初優勝した99年から疑惑を持たれては否定していた。しかし膨大な関係者の証言などを基に告発したUSADAに対し、アームストロングは23日に「もう十分だ」と異議を申し立てないことを表明。世界反ドーピング機関(WADA)のフェイ委員長は「反論をやめたということは告発を認めたということ」との見解を示した。

 近年のツール・ド・フランスは薬物問題にまみれている。06年の覇者ランディス(米国)はドーピング違反でタイトルを剥奪され、自らの不正を認め、アームストロングの薬物使用を告発した。07、09、10年に総合優勝したコンタドール(スペイン)も10年の優勝後に違反が発覚し、同年の記録を抹消された。

 ◆ランス・アームストロング 1971年9月18日、米テキサス州プラーノ出身の40歳。16歳でプロのトライアスロン選手になり、89、90年と全米スプリント部門で連覇を達成。その後、自転車に専念して92年バルセロナ五輪で14位に入った後にプロ転向し、93年の世界選手権で優勝。96年に精巣腫瘍が見つかったが克服し、99年にツール・ド・フランスを初制覇すると、05年まで7連覇。一度は引退したものの、09年1月に現役復帰し、昨年2月に再び引退。その後はトライアスロン選手として活動していた。1メートル79、74キロ。

 ▼ツール・ド・フランス 毎年7月にフランスおよび周辺国を舞台に行われる自転車ロードレース。1903年にスタート。スポンサー名を冠した9人編成(最低6人)のチームが、20~22チーム出場する。平たんステージ、山岳ステージ、タイムトライアルステージとステージ設定が多彩。総合成績1位の選手には黄色のジャージー「マイヨ・ジョーヌ」が与えられる。アームストロングの総合優勝7度が最多だった。5勝が4人いる。

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2012年8月26日のニュース