星 病乗り越えつかんだ銅メダル「今は幸せです」

[ 2012年8月3日 06:00 ]

女子200メートルバタフライ決勝で軽快に泳ぐ星

ロンドン五輪競泳女子200メートルバタフライ

 星は150メートルを5番手で折り返すと、得意のラストスパートで猛然と追い上げた。1人、2人とかわし、トップの焦劉洋、2位のベルモンテガルシアに次ぐ3位。「昨年(世界選手権で)4位で、五輪では絶対にメダルを獲りたい気持ちが強かった。ホッとしています」と目を真っ赤にして、安どの息をついた。

 昨夏の世界選手権は100分の1秒差でメダルを逃した。今季は4月の日本選手権で世界選手権の優勝タイムを上回る日本記録2分4秒69をマークし、金メダル候補と注目を集めた。「まぐれなんじゃないか」と不安との格闘の日々が続いた。この日のタイムは2分5秒48。0秒79及ばなかったが「自分らしいレースができたので納得しています」と胸を張った。

 病にも打ち勝った。高1の3月、「疲れた」と漏らすことが多くなった。母・真奈美さん(48)が病院に連れていくと、甲状腺の病であるバセドー病が発覚した。真奈美さんは「泳げなくなるかもしれない」と心配した。薬で症状が安定し、競技が再開できるまで2カ月半かかった。現在も定期的に病院に通い、薬を服用している。

 高校生代表だった北京五輪は準決勝敗退。翌年はハイヒールで転倒して右足首を捻挫し、国際大会の代表を逃した。苦難を乗り越えてつかんだ銅メダル。「正直、本気で金メダルを狙っていたので、悔しい気持ちがないわけではないけれど、今は幸せです」。表彰式で21歳の女子大生は満面の笑みを浮かべた。

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2012年8月3日のニュース