内村笑顔なき銀 4位から“誤審”猛抗議で変更も

[ 2012年8月1日 06:00 ]

体操男子団体で金メダルに喜びを爆発させる中国チームの横で悔しげな表情を浮かべる(左から)内村航平、田中和仁、加藤凌平

ロンドン五輪体操決勝

 ドタバタ劇の末に、銀メダルが転がり込んだ。30日の男子団体総合決勝で、日本は最終種目あん馬の最終演技者・内村航平(23=コナミ)が最後の技でバランスを崩して着地。一度は内村の得点を13・466点、合計271・252点の4位と発表されたが、猛抗議の末に最後の技が認められ、 得点が修正。合計271・952点で2大会連続の銀メダルを獲得した。275・997点で連覇した中国に屈し、04年アテネ五輪以来の金メダル奪回はならなかった。

 あまりの低スコアに、目を疑った。最終種目あん馬で最後に演技した内村の得点は13・466点。最後の技でバランスを崩したものの、予想外の得点に「ウッソ~」とつぶやいた。合計271・252点の4位と発表されたが、技の難度を示す演技価値点が誤っていることに気づいた代表の加藤、森泉両コーチが審判に猛抗議。約15分の審議の末に得点は修正されて、銀メダルを獲得した。

 「4位と発表されて、何も言えなかったし、今まで何やってきたんだろうとか考えていた。2位に上がってもメダルを獲れたという感じはない。順位が変わっても、うれしい気持ちはなかった」

 大歓声を受けて演技する地元・英国のあおりを受けた。英国の最終演技者への大きな声援に、スタンバイしていた内村はなかなか演技をスタートできず。「歓声が気になったというか、地元の波にのまれた気がします」。内村の得点が修正されたことで、一度は2位と発表されていた英国の順位も3位に落ち、表彰式でもブーイングを浴びた。「後味の悪いチーム戦だった」と複雑な表情で振り返った。

 ドタバタ劇はあったものの、五輪連覇を達成した中国には、チームとしての実力差を見せつけられた。1種目目のつり輪ではリードしたものの、残り5種目で完敗。最終演技・内村のあん馬を迎えた時点で、中国との差は18・211点だった。演技の出来栄えを示す実施点で、10点満点をマークしても届かない大差。「中国はミスが1つもなかった。正直、凄い悔しい」と話した内村は、「5人で楽しく演技できたのは幸せに思っている」と少しだけ笑った。

 28日の予選では鉄棒、あん馬で落下があったが、この日は6種目で92・048点を稼いだ。このスコアは予選1位に相当し、1日の個人総合で金メダルを十分に狙える数字だ。昨年の世界選手権は団体銀メダルに終わった後、ショック状態に陥り、個人総合へテンションを上げるのが難しかったが、今大会は違う。「去年みたいにズ~ンって感じじゃない。もう切り替わってます」。日本人28年ぶりの個人総合金メダルへ、万能キングはもう前を向いている。

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2012年8月1日のニュース