一本捨てる!杉本“ラスト五輪”金獲得へ、難敵対策万全

[ 2012年7月2日 06:00 ]

強化合宿で練習する柔道女子78キロ超級の杉本美香

 絶対女王打破へ対策はできた!!ロンドン五輪柔道女子78キロ超級代表の杉本美香(27=コマツ)が1日、北海道釧路町での合宿で、北京五輪の同級金メダリストで昨年の世界選手権でも優勝している女王・トウブン(29=中国)の研究成果を披露。10年世界選手権2冠女王が、攻めと守りの両面での秘策を完成させ、真の頂上決戦への手応えを口にした。

 絶対的な存在感を誇る女王を倒さなければ、目標の金メダルはない。杉本は北海道釧路町での合宿で、打倒・トウブンの秘策を着々と練っていた。「ビデオ研究で(トウブンに対する)対応策が見えてきているんで」。真剣なまなざしで打ち明けると、守りと攻めの両面でポイントを挙げてみせた。

 まずは守りだ。北京五輪決勝で塚田真希に逆転の一本勝ちをした中国の英雄は、圧倒的なパワーが武器。中でも相手の腕を強引に引き込む「払い巻き込み」から寝技に持ち込む連係技は「巻き込まれたら終わり」と警戒する。杉本自身も昨年11月の世界無差別選手権でその餌食となった。だからこそ「巻き込まれる前に対応するしかない」という。そこで鍵となるのは、相手が技に入る時を見切ること。「どういうタイミングで(技に)入ってくるか分かった」のが大きな進歩だ。

 さらに、攻撃にも改良点がある。技の切れる杉本は「投げて一本」が本来の姿。だが、130キロ近いトウブンを鮮やかに投げることは至難の業だ。ならば、先に技を掛けて審判に攻勢をアピールし、相手に指導を与える作戦がある。これまでは投げる体勢をつくることに腐心し、技の出が遅くなる傾向もあったが「技の出は早くなってきていると思う」と勝負に徹する構えも見せた。

 先月上旬の練習中に右肩を亜脱臼したが、その傷も癒え、故障中に強化した下半身のトレーニングで「受けが強くなった気がする」と手応えも感じている。左足甲にチタン製のボルトが2本残る傷だらけの27歳は、これが最初で最後の五輪。「勝たないと意味がない。これまで応援してくれた人のためにも優勝したい」と気合を込めていた。

 ▽北京五輪女子78キロ超級決勝VTR アテネ五輪金メダルの塚田真希はトウブンから2分すぎに、出足払いによる有効でリードを奪った。その後も守らずに攻め続けた。だが、終了8秒前に背負い投げで、逆転の一本負け。女子重量級日本初の連覇を逃して、号泣した。

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2012年7月2日のニュース