錦織 ウィンブルドン初勝利!日本人男子9年ぶり

[ 2012年6月27日 06:00 ]

男子シングルス1回戦でミハイル・ククシュキンと対戦する錦織圭

ウィンブルドン選手権第2日 錦織圭3-0ククシュキン

(6月27日 英ロンドン・オールイングランドクラブ)
 日本のエースが聖地で勝った!男子シングルス1回戦で第19シード、世界ランキング20位の錦織圭(22=日清食品)が同ランク52位のミハイル・ククシュキン(24=カザフスタン)をストレートで下し、4度目の挑戦で初勝利を果たした。試合中に右足首と左膝も痛めながら、日本男子として03年の鈴木貴男以来9年ぶりの勝利を挙げ、残り1カ月に迫ったロンドン五輪本番に弾みをつけた。

 3度目のマッチポイントでククシュキンのフォアがアウトになると、錦織は軽く右手で握り拳をつくった。左脇腹の肉離れで戦列を離れてから約2カ月。テニスの聖地で復活した日本のエースは「うれしいですね。復帰戦でこの1勝は。凄い大きな意味を持つと思う。念願の1勝なので、この喜びをかみしめてきょうは過ごしたいと思います」と笑みをこぼした。

 ストレート勝ちとはいえ楽な試合ではなかった。過去3戦全勝と相性のいいククシュキン相手に第1セットは第3ゲームでブレークされたが、試合勘を取り戻して先取した。しかし、第2セットの第3ゲームで右足を芝生に滑らせるアクシデントに見舞われた。トレーナーを呼んで右足首を治療し、テーピングで固めて試合中に痛み止めも飲んだ。このセットの終盤に左膝も痛めたが、懸命なプレーで全豪16強の難敵に最後まで主導権を渡さなかった。

 4月下旬に左脇腹を肉離れしてからは焦りがつのった。しかし、全仏オープンを欠場してリハビリに集中。ボールが滑る芝のコートに向けて下半身を徹底的にいじめた。臀部(でんぶ)と背筋を徹底的に鍛え、スポンサー契約を結ぶユニクロのウエアは一回り大きくなった。「この2カ月は長かったが、ひたすら何も考えなかった。考えだすと苦しいことばっかり思ってしまうので、必死にリハビリをしました」。無心で鍛えたのは肉体だけではなかった。強じんな精神力を備えた男は、試合中に負傷しても心が折れることはなかった。08年に4大大会に初出場してからウィンブルドンでは4度目の挑戦で初勝利。日本男子では、松岡修造以来4大大会すべてで白星をマークした。

 1カ月後には同じ会場で2度目の五輪に挑戦する。大会終了後の世界ランキングで上位16人に入れば五輪本大会でのシードが与えられるが「前回(北京=初戦敗退)経験しているので、できるだけメダルを狙いたい。いつもプレーしている場所なので重圧も和らぐかもしれない」と前向きに話した。日本勢としては、20年アントワープ五輪で熊谷一弥が単複で銀メダルを獲得して以来92年ぶりの五輪メダルへ。22歳の視界は大きく開かれようとしている。

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