稀勢　惨敗３敗　初優勝に暗雲…「何もないっす」

３敗目を喫し「アーッ！」と声を出し悔しがる稀勢の里

大相撲夏場所１３日目

（5月18日 東京・両国国技館）
　２日前まで絶対的に有利だった稀勢の里の初優勝があやしくなってきた。張り差しから右を差されると、そのまま土俵外へ寄り倒される惨敗劇。「何もないっすね、きょうは」。１１日目の時点で後続に２差をつけたが、まさかの連敗で３敗力士に追い付かれ、一気にピンチを迎えた。

　取組後の支度部屋では敗因を「ちょっときのう、きょうと落ち着きすぎている部分がある」と冷静に分析。初優勝の重圧に打ち勝つために気持ちを整えようとし過ぎたあまり、気合が乗り切らないというジレンマに陥っている。終盤戦での単独トップは初体験だけに、心に迷いが生じていることは確かだが、帰り際には「もっと熱くなっていい。硬くなってもいい。落ち着き過ぎた」と自らに言い聞かせるように前を向いて車に乗り込んだ。

　１４日目に対戦する日馬富士には４連敗中で、千秋楽に当たる把瑠都との対戦成績は４勝１８敗。「きのう、きょうと悪いところが出たし、これ以上はない。まあ、やるだけ頑張ります」。６年ぶりとなる日本人優勝に向けての道は険しくなったが、それも自らの成長の過程だと信じている。