右肩脱臼も…桂治、強行出場宣言「僕はできる」

[ 2012年5月12日 06:00 ]

 柔道のロンドン五輪代表最終選考会を兼ねた全日本選抜体重別選手権は12日、福岡国際センターで開幕する。先月29日の全日本選手権で右肩鎖関節脱臼の大ケガを負いながら、13日の男子100キロ超級に強行出場する鈴木桂治(31=国士舘大教)は11日、福岡市内の公式練習会場で最終調整。“最後の戦い”に静かな闘志を見せた。また、同日には福岡市内のホテルで有力選手が会見を行った。

 全日本選手権準決勝で大ケガを負ってから初めて公の場に姿を現した鈴木は、畳の上で必死に戦っていた。テーピングもせず、痛み止めも使用せず約2時間。中量級の選手を相手に入念に打ち込みと投げ込みを行った。「痛みがあるのは仕方がない。ケガなんて、自分次第。僕はできると思ってやってきている」。迷いのない表情できっぱりと出場を宣言し「負けるために戦うやつはいないですから」と続けた。

 右肩鎖関節の脱臼で、今も患部はこぶ状に腫れている。じん帯も3本、切れたという。だが、戦わなければ夢は断たれる。ケガの翌日から「(試合のある)13日にどう持っていくかを考えてきた」。左組みの鈴木にとって右手は引き手にあたるが、この日はしっかりと道着を握り、何度も相手を畳に叩きつけた。

 本格的な練習は約2週間していない。見守った国士舘大の山内直人監督は「思った以上に動けてるけど、問題は体力」と不安は隠さない。それでも出場にこぎつけた“小さな奇跡”は、本物の奇跡への期待を生む。「これが最後かもしれないけど、どういう結果だろうとすっきりすると思う」と言った31歳の表情は覚悟に満ちていた。

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2012年5月12日のニュース