立石 練習嫌いが“改心”!感激の初五輪切符

[ 2012年4月4日 06:00 ]

<水泳日本選手権 男子100メートル平泳ぎ決勝>2位の立石

競泳ロンドン五輪代表選考会兼日本選手権第2日

(4月3日 辰巳国際水泳場)
 尊敬する北島から握手を求められ、立石は右手をギュッと握りかえした。59秒60は北島から0秒70遅れて「ぶっちぎられた」と苦笑いしたものの、感激の五輪初切符。「先生も家族も友人も、いっぱい応援に来てくれたから、どうしても決めたかった」。2位にわずか0秒16及ばずに涙をのんだ08年北京五輪代表選考会から大きく成長した姿が、そこにはあった。

 高校時代に北島の200メートルの高校記録を塗り替え、注目を集めた。北島も「あいつは天才」と認める才能の持ち主。09年からは代表に定着したが、周囲の期待に反して伸び悩んだ。所属が決まらず、コーチがいない時期には「マネジャーと2人で練習した」。昨年の世界選手権100メートルも準決勝全体9位。毎回メダル候補に挙げられながら、結果を残せなかった。

 そんな天才肌が、昨年から師事する高城コーチに「オフはいりません」と申し出た。冬場は長距離選手並みに一日2万メートルを泳ぎ込むことも。「後悔したくない。死ぬ気でやっている」。高城コーチも「昨年の3倍練習している。いろんな人に目つきが変わったと言われる」と変貌ぶりに目を細める。「練習嫌い」の男が心を入れ替えたからこそ、五輪切符があった。

 「目標である北島選手と五輪で勝負させてもらえる最大のチャンスをもらった。人生で一度かも」。胸躍る舞台へ。5日から始まる200メートルとダブル代表も夢じゃない。「人に感謝できるようになった」と人間的にも成長した22歳の青年が、いよいよ羽ばたこうとしている。

 ◆立石 諒(たていし・りょう)10年日本選手権の男子平泳ぎで3冠、広州アジア大会の100メートルで優勝。09年、11年世界選手権代表。慶大休学中、NECグリーン。1メートル82、74キロ。22歳。神奈川県出身。

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