北島 日本新で決めた!4大会連続五輪

[ 2012年4月4日 06:00 ]

競泳日本選手権の男子100メートル平泳ぎ決勝で、日本新をマークして優勝しガッツポーズで喜ぶ北島康介

競泳ロンドン五輪代表選考会兼日本選手権第2日

(4月3日 東京辰巳国際水泳場)
 五輪イヤーはやっぱり強い!男子100メートル平泳ぎで、北島康介(29=日本コカ・コーラ)が4年前の北京五輪で出した自身の日本記録を100分の1秒更新する58秒90で、日本競泳界初の4大会連続五輪出場を決めた。29歳での五輪出場は日本競泳史上最年長。前人未到の五輪3大会連続2冠へ向けて、確かな一歩を踏み出した。派遣標準記録をクリアした2位の立石諒(22=NECグリーン)も初の五輪出場を決めた。

 北京五輪以来のこん身のガッツポーズが飛び出した。プールを上がった北島は誇らしげに何度も観客席に人さし指を高く上げて1番ポーズ。会心の泳ぎで4大会連続の五輪を決め、笑みを浮かべた。

 「五輪に行くのは当たり前だと思われるけれど、厳しい選考会でこの結果を出せたことは凄く納得してます。とりあえずホッとしています」

 ひげももみあげもきれいに落として臨んだ決勝。前半の50メートルを世界記録を上回る自己最速の27秒69で突っ込んだ。後半も力強い泳ぎで隣の立石を置き去りにし、高速水着「レーザーレーサー」で臨んだ北京五輪の優勝タイムを0秒01更新した。「4年に1度しか自分の記録を超えられない。自分でもさすがだなあと思う」と笑いながら自画自賛。記録で進化をはっきり示した。

 「100メートルを諦めたくない気持ちと若手からの刺激が奮い立たせてくれた」

 昨年の世界選手権の100メートルは北京五輪銀のダーレオーエン(ノルウェー)が58秒71で優勝し、北島は1秒32もの大差をつけられ4位に沈んだ。絶対的な力の差を見せつけられ、ホテルの部屋で一人泣いた。強い北島をよみがえらせたのは、あの悔しさがあったから。そして、下からの突き上げがあったからだった。

 かつてここまで緊張感を持って選考会に挑んだことはない。近年は立石、冨田ら若手が急激に台頭し、日本選手権(100メートルと200メートル)は北京五輪までの8年間は2敗しかしていないが、この2年間(昨年の代表選考会含む)は4戦で3敗。冬場から練習に集中し、大会前に恩師の平井コーチが修正の手を加える必要がないレベルにまで泳ぎを一人で仕上げた。

 拠点を置く米国から帰国後、練習を見た平井コーチは北島の取り組む姿勢の変化に驚いた。「タイムを計る時に“お願いしますっ”“ありがとうございました”って言ってね、高校生に戻ったようだった」。初めてシドニー五輪の切符を獲得した17歳の頃のようなひたむきさで練習に打ち込んできた。

 宿敵ダーレオーエンの世界選手権金メダルタイムに0秒19まで迫った。競泳男子初の五輪3連覇が懸かるロンドンが「ますます楽しみになってきた」と手応えは十分だ。5日からは200メートルが始まる。100メートル以上の激戦種目。「負けないように、29歳、頑張りまっす」。かつてのような余裕もよみがえってきた。

 ◆北島 康介(きたじま・こうすけ)男子100メートル、200メートル平泳ぎの2種目で連覇を果たした08年北京五輪後に約1年間休養し、現在は米ロサンゼルス在住。両種目の前世界記録保持者。昨年の世界選手権は200メートルで2位、100メートルは4位。日体大出、日本コカ・コーラ。1メートル77、72キロ。29歳。東京都出身。

 ◇男子100メートル平泳ぎ
(1)北島 康介(日本コカ・コーラ)[日]58秒90
(2)立石  諒(NECグリーン) 59秒60
(3)山口 観弘(志布志DC) 1分0秒66
[世]リカード(豪州) 58秒58
[日]北島 康介 58秒91
 派遣標準記録 1分0秒39

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