翔天狼8連勝で1敗キープ!幕尻優勝も見えてきた!

[ 2012年3月21日 06:00 ]

富士東を寄り切りで破り1敗を守った翔天狼(左)

大相撲春場所10日目

(3月20日 大阪府立体育会館)
 幕尻の翔天狼が平幕・富士東を立ち合いから一気に寄り切り、1敗をキープした。番付運に恵まれて幕内復帰した勢いに乗り、00年春場所の貴闘力以来となる幕尻優勝も見えてきた。横綱・白鵬、綱獲りの大関・把瑠都、大関獲りの鶴竜もそれぞれ白星を挙げ、優勝争いは4人が1敗で並走している。

 速攻だ。翔天狼は立ち合いですぐに2本差し、富士東に何もさせずに寄り切った。会心の内容で8連勝。「もろ差しは狙ってました。緊張せず落ち着いて相撲を取れています」。支度部屋では自然と頬が緩んだ。

 師匠の藤島親方(元大関・武双山)の指導で今場所は出足を強く意識している。「今までは1歩目が大きすぎて止まっていた」。1歩目を小さく、2歩目を速く出すことで鋭く踏み込める。この日の快勝も立ち合い改善がもたらした成果だった。

 番付運を味方につけての快進撃だ。昨年九州場所は急性虫垂炎のため全休。11月下旬に退院したものの、開腹手術後とあってすぐには満足な稽古ができなかった。東十両5枚目まで陥落した今年初場所は8勝7敗。春場所も十両と思っていただけに、まさかの幕内復帰だった。「番付を見て“土俵の神様からの贈り物”と感謝しました」

 巡ってきた好機。愛妻の存在を心の支えに打ち込んだ。昨年7月にモンゴルの先輩、旭天鵬の妹・ヒシゲスレンさんと結婚。「全てが気に入っている」とベタぼれで、東京を離れる際は毎晩、電話を欠かさない。「“頑張って”という言葉を聞くのが励み」とのろけた。

 夏場所後の6月には都内で披露宴を予定しているだけに、幕内優勝で花を添えられれば最高だ。「優勝争いとか考えてません。だから緊張しないんです」。“荒れる春場所”と呼ばれるように、貴闘力の幕尻優勝も00年春場所だった。無欲の男が一躍、注目の男となってきた。

 ◇翔天狼 大士(しょうてんろう・たいし)本名ダグダンドルジ・ニャマスレン。1982年1月31日、モンゴル・ウランバートル生まれの30歳。白鵬と同じ01年春場所初土俵。新十両の08年九州場所、09年初場所と連続優勝して09年春場所で新入幕。三賞1回、金星1個。得意は突き押し。1メートル89、158キロ。

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2012年3月21日のニュース