大関の意地 稀勢の里が7連勝鶴竜止める

[ 2012年3月19日 06:00 ]

鶴竜(右)を強烈なのど輪で押し込む稀勢の里

大相撲春場所8日目

(3月18日 大阪府立体育会館)
 稀勢の里が大関を狙う全勝の鶴竜を押し出し、意地の5勝目を挙げた。7日目までに下位力士に3敗を喫するなどピンチを迎えていたが、昨年11月に急死した先代師匠(元横綱・隆の里)の言葉を胸に発奮した。白鵬は栃ノ心を寄り切って、ただ一人無敗。1敗は綱獲りの把瑠都と鶴竜、平幕の翔天狼の3人。
【取組結果】

 館内の大声援を受けて勝ち名乗りを受けた稀勢の里は、納得したかのように口元をぐっと結んだ。7連勝で大関獲りが近づいていた鶴竜を前に出る相撲で圧倒。立ち合いは「いつも以上に相手が踏み込んできてびっくりした」と振り返ったが、そこから“代名詞”である左の強烈なおっつけで体勢を崩し、そのまま押し出した。

 場所前の稽古は十分積んでいたが、大関2場所目で緊張の糸が切れたのか前半戦で下位力士に3敗。「ようやくつかんできた。今までは自分の体じゃないようだった。存在感が消えかかってましたから」。乗りに乗る無敗力士を倒し、一気に重い空気を吹き飛ばした。苦しい状況で思い出すのは昨年11月に急死した先代師匠の存在だ。6日目から締める新しい化粧まわしには先代をモチーフとしたイラストが描かれている。「前に出る相撲を」「表情を崩すな」「常に自信を持て」。亡き恩師から贈られた3つの言葉を秘めて土俵入りを行い、大関としての取組に備えている。

 発奮材料もある。場所前に親交があるJRAの小桧山悟調教師から「今より濃いエンジ」という新しい締め込みを贈呈された。来場所から締める予定で、新たな気持ちで横綱を目指すつもりだ。9日目から始まる横綱大関戦に向け「このままいきたい」と気合を込めた。既に全勝と1敗の力士に日本人は不在だが、稀勢の里が奮起しない限り大阪の陣に活気は戻ってこない。

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2012年3月19日のニュース