琴奨菊 痛すぎる黒星発進に「クッソー」

[ 2012年1月9日 06:00 ]

豪風に肩透かしで敗れた琴奨菊(左) 

大相撲初場所初日

(1月8日 両国国技館)
 琴奨菊が1回転して土俵外に転がり出ると、満員の館内はタメ息に覆われた。稀勢の里が白星発進した3番後。まだ熱気が残る土俵で、もう一人の日本人大関がもろくも崩れた。

 過去の対戦成績が9勝10敗と拮抗(きっこう)していた豪風戦。左右への動きがある難敵を前に迷いが生まれたのか、立ち合いの出足が鈍った。生命線の左を差せず、逆に懐に飛び込まれて左差しを許した。右で抱えながら強引に前に出たものの、自分の右へ回り込まれた。最後は頭を押さえつけられながら肩透かしを食らい、耐えきれなかった。

 親しい関係者には今年の目標として複数回の優勝を誓っている。相撲人生をかけた勝負の年の最初の取組で、まさかの黒星。ぼう然とした表情で花道を引き揚げ、風呂からあがっても、うつむき加減でショックの色を隠せなかった。「思い切りがない。心と体のバランスが…。合口?関係ない。落ち着いていかないと」。自分自身に言い聞かせるように話したが、「クッソー」と悔恨のつぶやきは止まらなかった。

 優勝争いに向けて序盤の黒星は痛手だが、逆襲の機会は残されている。師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「菊は切り替えがうまい」とハートの強さに太鼓判を押す。大関獲りの過程で、鍛えられた精神力を発揮するのはこれからだ。

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