早大のエースは“宇宙人”大迫「箱根は個人として狙っている大会じゃない」

[ 2012年1月1日 08:09 ]

2011年の箱根駅伝で1区区間賞に輝いた早大の大迫傑

 早大の指揮官としてみれば、最高の褒め言葉だろう。「彼も宇宙人ですよ」。渡辺康幸監督はエース・大迫傑(2年)のことをそう表現する。

 「宇宙人の教祖は瀬古(利彦)さん。自分もそうですけれど、エースは変わったところがあるんですよ」。昨季まで「うちにエースはいない」と言い続けてきた指揮官が今季はエースの存在を認めたのだ。

 大迫は行動も発言も異質だ。レース中には腕時計をつけない。「タイムを意識するのは好きじゃない」と自分の感覚を大切にする。

 優等生然とした顔立ちとは裏腹に「箱根はチームとしては大きな目標だけれど、個人として狙っている大会じゃない」と平然と言い切る。トラックで世界と戦うことにこだわり、今季はユニバーシアード1万メートルで日本勢では渡辺監督以来16年ぶりとなる金メダルを獲得。「来年は五輪の年。狙っていきたい」と強気だ。

 渡辺監督は前回、大迫を1区に投入する「奇策」を使った。集団でけん制し合う展開が多い1区だが、大迫は早々と飛び出した。チームでただ一人の区間賞を獲得。その流れに乗って、18年ぶりの総合優勝に持ち込んだ。「1区でNo・1を使うのは駅伝のセオリーではない。イチかバチかだった」と振り返る。

 同じ策が再び通用するとは思っていない。今季は出雲、全日本でともに3位と低調だが、前回より故障者は少ない。「今回はオーソドックスなワセダのオーダーでいきたい」。

 1区では力のある他の選手を起用し、2区に大迫を回してライバル校のエースたちと真っ向勝負させる意向だ。東洋大の柏原が待つ5区までに大きな貯金をつくる狙いは今回も同じ。指揮官はかつて2区を走って優勝した自らの姿を大迫にダブらせている。

 ◆大迫 傑(おおさこ・すぐる)1991年(平3)5月23日、東京都生まれ。長野・佐久長聖高卒。スポーツ科学部2年。前回の箱根では1区に起用され歴代6位の1時間2分22秒で区間賞を獲得した。今季は出雲1区3位、全日本2区2位。1万メートルのベスト記録は28分35秒75。1メートル70、53キロ。

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2012年1月1日のニュース