真央 笑顔戻った!母の死乗り越え決戦の舞台へ

[ 2011年12月23日 06:00 ]

<全日本フィギュア>会見で笑顔を見せる浅田真央

 悲劇を乗り越えて、真央が決戦の舞台に戻ってきた。フィギュアスケートの世界選手権代表選考会を兼ねた全日本選手権は23日、大阪・なみはやドームで開幕する。9日に母・匡子(きょうこ)さん(享年48)が死去した浅田真央(21=中京大)は22日、24日の女子ショートプログラム(SP)に向けて会場で練習を行った。会見では笑顔も見せた浅田は、好演技を誓った。

 笑みを浮かべながら、リンクに帰ってきた。匡子さんが亡くなってから初めて、13日ぶりに公の場に姿を見せた浅田は、会場入りの際、報道陣に向かって、にこやかにあいさつした。そして、30分間の練習では、いつも通りの滑りを披露した。

 ジャンプにも挑んだ。うまく回転できない場面もあったが、大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も何とか着氷できた。開会式後の会見では「体の動きは全然、悪くなかった。一番の目標は、ミスなく自分の今できる全てを出すこと」と意気込みを語った。

 匡子さんの容体が急変したことを受け、GPファイナル出場のため滞在していたカナダから緊急帰国したのが9日。名古屋市内の病院で、既に亡くなっていた母と無言の対面をした。ショックはあったが、スケート人生を支えてくれた匡子さんのためにもリンクに立つと決意。告別式が行われた12日に文書で全日本選手権出場を表明した。佐藤信夫コーチには「心の準備ができたので頑張ります」と電話で伝えた。

 翌13日には中京大で練習を再開し、この1週間は通常メニューを消化してきた。関係者は「見ている限り、落ち込んでいるとかふさぎ込んでいる感じはなかった」と証言した。浅田自身も会見で「欠場することは思っていませんでした」と毅然(きぜん)と答えた。

 周囲にはピリピリした空気が漂っていた。浅田は他の選手とは違う出入り口を利用。会見も日本スケート連盟が事前に質問をまとめ、代表質問に浅田が答える異例の形で行われた。浅田に関する質問を受けた男子の小塚は「それは後にしてください」と険しい表情を浮かべた。日本連盟は「浅田以外の選手への質問も競技に関することのみ」と通達を出していた。

 そんな中でも浅田は自然体だった。「“いつも通り”というのが今、大切にしている言葉です」と笑った。

 悲しみを胸に秘めて挑む氷上決戦。あす24日のSP、25日のフリーで全力を尽くす。匡子さんが試合会場に最後に姿を見せたのは、昨年の全日本選手権。あれから1年。「結果、得点、順位じゃない。今できる精いっぱいの演技をして、たくさんの人にいい演技を見てもらいたい」。天国で見守ってくれる最愛の母へ、最高の舞を届ける。

 ◆滑走順 男子SPは小塚が全体19番で第4グループの2番目、高橋が全体25番で最終第5グループの2番目、羽生が全体29番で第5グループの最終演技者。女子SPは村上が全体20番で第4グループの3番目、浅田が全体27番で最終第5グループの4番目、鈴木が全体29番で第5グループの最終演技者。

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2011年12月23日のニュース