朝青龍 現役当時1億円詐欺被害…愛国心くすぐられ

[ 2011年12月1日 06:00 ]

 元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(31)から現金約1億円をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は30日、詐欺の疑いで会社役員の男2人を逮捕した。2人はフィリピンに隠し持つ金塊を現金化する前の保管料と称し、現金を借り入れ。「現金化したらモンゴルの開発のために1兆円を使いたい」などと、甘い言葉で信用させていた。

 逮捕されたのは神奈川県逗子市小坪、菊地武雄容疑者(77)と、埼玉県所沢市元町、熊田隆春容疑者(63)。

 逮捕容疑は09年4月上旬ごろ、元朝青龍に対し「金塊の保管料を延滞しているので貸してほしい」とうそを言い、2回にわたり現金約1億円をだまし取った疑い。

 元朝青龍は当時、現役ばりばりの横綱。日本での収入を母国モンゴルの事業に投資し、土地の買収や自身の事業拡大を進めていたとも言われる。

 関係者によると、元朝青龍は知人の武道団体の女性会長から「お金を持っていて力のある人」と菊地容疑者を紹介された。同容疑者はその後、元朝青龍と数回会い、第2次世界大戦後、GHQが占領下の日本から接収したとされる、通称「M資金」の運用を任されているなどと自身の立場を偽って取り入った。

 そして「金塊を海外にたくさん持っているが、表にできない。だが溶かしてもう一度固めて、新しい刻印を打てば換金できる」などと、もっともらしい話を持ち出し、「金は増やして返す」と言ってだましたという。

 また、捜査2課によると、菊地容疑者は「金塊を現金化できたら、モンゴルの開発のために1兆円使いたい」などと持ちかけていた。ヒールの印象が強い元朝青龍だが、今年5月に「モンゴルの国会選挙に出る。みんなのための人間になる」と話したように、愛国心は強い。そこに乗じて信用させたようだ。元朝青龍は当時、言われるままに1億円を支払ったが、その後、返済も、モンゴルへの出資もなかったため菊地容疑者らに返済を要求。しかし物別れに終わったため、警視庁に訴えた。

 菊地容疑者らが役員を務めていた会社は、登記はされているが実体はなく、逮捕時には「ブローカー」を名乗ったという。1億円は同容疑者らがほとんど使い果たしたといい、同課が使途などを調べている。

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2011年12月1日のニュース