日本シリーズからも刺激 琴奨菊が大関陣唯一3連勝

[ 2011年11月16日 06:00 ]

琴奨菊(奥)が突き落としで豊真将を破る

大相撲九州場所3日目

(11月15日 福岡国際センター)
 新大関・琴奨菊は豊真将に押し込まれながら、右からの突き落としで逆転勝ち。日馬富士、把瑠都が相次いで崩れる中で大関陣唯一の3連勝とした。大関獲りを狙う稀勢の里は冷静に豊ノ島を突き出し、白鵬も上手投げで豪栄道を下し、ともに全勝をキープした。他に鶴竜、栃乃若、豪風が全勝で並んでいる。

 重圧に耐えた。西の控えで出番を待つ琴奨菊の目の前で日馬富士、把瑠都と先輩大関が次々に敗れていく。波乱の展開に館内がざわつく中、過去10勝3敗と圧倒していた豊真将に立ち合いで組み止められ、押し込まれたものの、タイミングを見極め右から突き落として大関陣で唯一全勝を守った。

 支度部屋では「たまたまです。しっかり当たれていない。相撲は攻めないとダメです」と反省しきりだったが、花道で見守った父・菊次一典さん(56)の見方は違っていた。「自分と一緒で気負えばすぐ顔に出る。穏やかな顔つきを見て心配はしなかった」と押し込まれてからの冷静な対処に成長の跡を感じ取っていた。

 “ご当地”大関の活躍を地元もバックアップする。会場の福岡国際センターから徒歩5分のうなぎ料理「柳川屋」は初日から“昇進祝い”で1割引き、琴奨菊が勝った翌日は2割引きのセールを実施中。また出身地の福岡県柳川市の「福岡のり」は今場所15日間通して懸賞を出す。黒色のノリは黒星を連想させるものの、本人は「縁起とか関係ないですよ」とサラリ。関係者から「苦労(黒)に苦労(黒)を重ねて栄光をつかめ」と発想転換のヒントをもらい、前向きにとらえている。

 プロ野球では大ファンのソフトバンクが日本シリーズで激闘中。「紙一重の戦いを続けている。同じスポーツで勉強になる部分はある」。他競技からも貪欲に学ぼうとする向上心旺盛な新大関が、緊張の序盤を無難に乗り切り、勢いに乗り始めた。

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2011年11月16日のニュース