稀勢の里、大関獲りへ決意の早朝稽古で「よしっ」

[ 2011年11月13日 06:00 ]

場所前日に早朝稽古を行った稀勢の里

 大相撲の九州場所は13日、福岡国際センターで初日を迎える。7日に師匠だった先代鳴戸親方(元横綱・隆の里)を亡くした大関獲りの稀勢の里(25=鳴戸部屋)は12日、三役以上の力士が参加する土俵祭りに出向く前に“早朝稽古”を敢行。千葉県で営まれた先代の通夜と告別式に参列したため2日間稽古を休んだが、天国にいる師匠に大関昇進を届けるべく、急ピッチで最後の調整を行った。

【九州場所】

 場所前日の午前7時10分。悲しみを胸にしまった稀勢の里が、香椎神宮(福岡市東区)にある鳴戸部屋宿舎の土俵に戻ってきた。3日ぶりにまわしを締めた大関候補は、入念に四股を踏み、幕下以下の力士に21番胸を出した。立ち合いの確認を終えた8時40分、納得したように「よしっ」と言葉を発して稽古を切り上げ、午前10時からの土俵祭りへと向かった。

 10日から2日間稽古を休み、千葉で営まれた先代の通夜と告別式に参列。福岡の宿舎に帰ってきたのは午後10時半をすぎており、移動の疲れと睡眠不足が心配されたが、“早朝稽古”は大関獲りへの悲壮な覚悟の裏返しにほかならない。「やることは一緒。いつもと変わらない」。短い言葉のなかに、15日間の意気込みを凝縮させた。

 この日は先代の急死を受け、部屋を継承した新鳴戸親方(元幕内・隆の鶴)も師匠として初指導。前夜は弟子全員を集めて「恥じることも恐れることもない。みんな力はある。弟子一同、力を合わせてやろう」と声をかけたという。部屋一丸となって納めの場所を乗り切ることを確認した。

 大関昇進の目安とされる3場所33勝には今場所で11勝を挙げれば到達する。決して楽な数字ではないが、場所前の試練を乗り越えてこそ、価値のあるものとなる。この日の稽古中、いつもは寡黙な稀勢の里が弟弟子に「四股を踏め!休むんじゃないぞ!」と奮起を促した。自らを育ててくれた先代がいない現実を受け止めた25歳。勝負の大関獲りの場所がついに始まる。

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2011年11月13日のニュース