有村 初逆転V!今週開催ミズノCへ弾み

[ 2011年10月31日 06:00 ]

プレーオフを制し優勝、馬場(左)に祝福される有村

女子ゴルフツアー樋口久子・森永製菓ウイダー・レディース最終日

(10月30日 千葉県市原市・森永高滝カントリー倶楽部=6652ヤード、パー72)
 有村智恵(23=日本ヒューレット・パッカード)が初の逆転勝ちで今季3勝目、節目の通算10勝目を挙げた。3打差の7位からノーボギーの68をマーク。通算7アンダーで並んだ馬場ゆかり(28=ビックカメラ)とのプレーオフを2ホール目で制した。ホステスプロとしての大役を果たして賞金ランクは2位に浮上。逆転賞金女王の可能性を追い、今週は日米両ツアー共催のミズノ・クラシック(4~6日、三重・近鉄賢島CC、スポニチ主催)に臨む。

 優勝までに乗り越えなければいけないものがたくさんあった。故障による不安と練習不足、ホステスプロの重圧。そして3打のビハインド。これまで逃げ切りしかなかった有村が、全てをはねのけた逆転に「今までの勝ち方で一番自信になった」と誇らしげに言った。

 最後のパットを沈めて突き上げた両手。左右の手首にはテーピングが施されていた。夏頃から痛みを感じ始め、TFCC(三角線維軟骨複合体)と診断され、9月に2試合を欠場。当初はフライパンや包丁を握るのもためらって気分転換の料理もできず、携帯電話のメールも遠ざけた。「マイクも持てない」とカラオケでAKB48を熱唱することもできなかった。

 最もストレスだったのは、「練習したという根拠がないと試合で自分を信じられない」という有村が練習量をセーブせざるを得なかったことだ。3週間前までは「普段の1、2割程度」。おかげで痛みは消えたが、ゴルフは煮え切らない。そこで先週からは痛みがぶり返す不安をきついテーピングで抑え込み、クラブを振ることに決めた。今大会の練習場にも、以前のように遅くまで居残る有村の姿があった。

 馬場と首位に並んで迎えた本戦の18番パー5。3打目は97ヤードが残った。100ヤード前後は有村の調子のバロメーター。50度のウエッジで打ったボールは不運にもピン直撃。遠くにはねて「勝てないってことなのかな」とめげかけた。しかし、パーでしのいでプレーオフへ進むと、2ホール目は残り94ヤードを同じクラブで2メートルに。積み重ねた練習なしには打てない一打が勝負を決めた。

 賞金女王争いではトップのアン・ソンジュ(韓国)と約3300万円差の2位に浮上。「来週のミズノ・クラシックから大きな試合が続くので、もう1勝したい」。初の逆転優勝で得た自信が、逆転女王への道も切り開く。

 ≪歴代3番目の年少記録≫23歳342日での10勝到達は、宮里藍と横峯さくらに次いで歴代3番目の年少記録となった。また、163試合目での10勝は歴代7番目のスピード記録。(88年ツアー制度施行後にプロになった選手が対象)

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2011年10月31日のニュース