「ゼロではない」室伏 四半世紀ぶりのWR挑戦!

[ 2011年8月31日 06:00 ]

金メダルを祝福する特製ケーキにかぶりつく室伏

 次は世界記録更新だ!第3日の男子ハンマー投げ決勝で自身初の金メダルを獲得した室伏広治(36=ミズノ)が30日会見し、86メートル74の世界記録更新について「条件がそろわないと難しいが、ゼロではない」と挑戦を宣言した。現世界記録保持者のユーリー・セディフ氏(56=ロシア)から祝福のメールが来たことも明かした世界王者に新たな目標ができた。

 少し目をこすりながら室伏が会見場に現れた。優勝の興奮があったことに加え多数の祝福の連絡に対応したため、睡眠時間は3時間弱。それでも「寝てないですが、うれしいことですからね」と笑った。祝福のメールの中には世界記録保持者のセディフ氏からのものもあった。そのセディフ氏の世界記録を超えることが次のターゲットだ。自己ベスト84メートル86(日本記録)を持つ室伏は「いろんな条件がそろわないと難しいが、ゼロではないと思う。私にもチャンスがあればと思っている」と宣言した。

 セディフ氏とは家族ぐるみで親交がある。そして今でも憧れだ。鮮烈な記憶として残るのが91年世界選手権東京大会。下馬評を覆し優勝したセディフ氏の雄姿を、当時高校生の室伏は目の当たりにした。「有望な若い選手が2人出てきていて、セディフは勝てないだろうと言われていたが、見事に優勝。その瞬間を私も見ている」。セディフ氏は当時36歳。「まさか、自分が36歳で優勝できるとは思わなかった」と感慨深げだった。

 帰国後は、准教授の肩書を持つ中京大で集中講義を持つ。同大には競泳の冨田尚弥やフィギュアスケートの浅田真央らトップアスリートが多く在籍する。他競技の選手のデータも集めて「トレーニング論」を突き詰める。「ハンマー投げで日本選手が活躍するためには未開発なところがある。今後の選手のためにも私が研究したい」と後進の指導にも当たる考えだが、視線の先にはロンドン五輪がある。「自分の体を分析し、ハンマーに力を無駄なく伝えて飛距離を出していく。五輪でもメダルを獲得する目標を達成したい」。

 年齢的な衰えがないことは証明した。だからこそ記録でもさらなる高みを目指す。ロンドン五輪に向け「きのうよりいい記録が必要になってくる」と言う室伏。五輪2個目の金メダルを手にするためにも、25年間破られていない世界記録86メートル74を見据えている。

続きを表示

この記事のフォト

2011年8月31日のニュース