入江が銅!日本勢メダル1号で200メートルに弾み

[ 2011年7月27日 06:00 ]

<世界水泳女子100メートル背泳ぎ決勝>銅メダルを見せてニッコリ笑顔の入江

水泳世界選手権第11日

(7月26日 中国・上海)
 ロンドン五輪開幕1年前に、新エースが日本勢メダル1号となった。男子100メートル背泳ぎ決勝で、入江陵介(21=イトマンSS)が52秒98で銅メダルを獲得した。世界選手権のメダルは09年の200メートル銀以来2つ目で同種目では初。28日に得意の200メートルが始まる。今大会で金メダルを獲得すれば五輪代表に内定する。初の世界一へ向けて大きな弾みをつけた。

 プールから上がった入江は日本チームの応援席に向かってガッツポーズをつくった。今大会日本勢初のメダル獲得だ。前日、北島がメダルを逃し、日本チームに流れた沈滞ムードを新エースが断ち切った。「メダルが起爆剤になると思っていた。自分にプレッシャーをかけていた」。勝負弱いという評判を覆してみせた。

 狙い通りの泳ぎだった。入江は前半50メートルをリラックスして入り、25秒98の7番手でターン。「(周りが)前半速いのは分かっていた。意識せずに後半まくろうと思った」。ジワジワと加速し、ラスト10メートルで猛烈な追い込みを見せた。後半50メートルはトップの27秒00。1位を分け合ったラクールとストラビウスのフランス勢2人に次いでタッチした。高速水着が禁止となってから自身初の53秒切りとなる52秒98。4位のトーマン(米国)に100分の3秒差で競り勝った。

 「理想の泳ぎができた。いつも100メートルは4位で悔しい思いをしてきたので、これでひと皮むけたかな」

 2年前 の悪夢を振り払った。09年は未認可の水着で“幻の世界記録”をマークすると水着騒動に巻き込まれて自分を見失った。同年ローマ大会の100メートルでは金メダルを意識するあまり前半をオーバーペースで入ってしまい、後半失速して4位に終わった。

 昨年は「最悪の一年」だった。新エースとして期待されながら、3月に右足首を捻挫、9月にはぜんそくを発症。タイムは伸び悩んだ。「エースと言われて重圧があった。エース候補に降ろさせてもらいたい」とぼやくこともあった。

 今季は「昨年の借りを返したい」とこれまで手をつけていなかった本格的な筋力トレーニングを開始。週2回、苦手なバサロの強化のため体幹や下半身をいじめた。その効果が表れ、4月の選考会から好タイムを連発。200メートルだけでなく100メートルも負けなしでここまできた。メダル獲得の準備は万全だった。

 これで得意の200メートルに自信を持って臨める。金メダルなら「ロンドン五輪代表内定」がついてくる。「100メートルで順位を1つ上げたので、200メートルでも上げたい。優勝して日本にいいニュースを届けたい」。前回の銀メダルを超える金メダルしか頭にはない。

 ◆入江 陵介(いりえ・りょうすけ)1990年(平2)1月24日、大阪市出身の21歳。0歳のベビースイミングから始め、大阪・天王寺中時代から背泳ぎに本格的に転向。近大付高2年時の06年12月のドーハ・アジア大会の200メートルで金メダルを獲得し一気に注目された。08年北京五輪は200メートルで5位。09年世界選手権は200メートルで銀、100メートルは4位。近大4年。1メートル78、63キロ。特技はピアノ。

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