W杯へ課題…カーワン・ジャパン ライン守備に穴

[ 2011年7月3日 06:00 ]

<日本・サモア>後半、サモアに捕えられながらも突進しようとする日本代表・小野沢(右)

ラグビーパシフィック・ネーションズ杯 日本15―34サモア

(7月2日 秩父宮ラグビー場)
 世界ランク13位の日本代表は同11位のサモア代表に15―34で敗れ、W杯(9月9日開幕、ニュージーランド)前哨戦の初戦を落とした。日本は前半だけで3トライを奪われて8―24とリードを許した。後半は6分にWTB宇薄岳央(25)がトライを返したが、点差を縮められなかった。両チームの対戦成績はサモアの10勝2敗。日本代表は3日にフィジーへ出発し、トンガ(9日)、フィジー(15日)と対戦する。

 日本代表は今年国内最初の公式戦で、約2カ月後に迫ったW杯へ不安を残した。サモア代表は平均身長と体重で日本よりも5・7センチ、9・4キロ上回る大型チーム。「W杯の試金石となる」(フランカー菊谷主将)と位置づけて試合に臨んだが、ダブルスコアでの完敗となった。ジョン・カーワン・ヘッドコーチ(46)は「前半にミスが多かった。後半は良かったので問題はない」と振り返ったが、9700人の観客からはため息が漏れた。

 日本のディフェンス網がサモアの攻撃陣に破られた。前半2分に右サイドでSOウェブらのタックルが甘く簡単に先制トライを奪われると、14、34分にもインゴールを割られた。4月の宮崎合宿から密集戦で人数をかけずにラインディフェンスを厚くしたが、タックルミスから突破されて機能しなかった。W杯では強豪相手に守備に追われる時間が長くなるだけに、守備の再構築は急務だ。

 攻撃面では日本らしい速くてグラウンドを広く使うシーンも見られた。後半6分に右サイドから左へ展開し、6人がボールをつないでWTB宇薄が決めたトライは日本の真骨頂。しかし、10分から6分間にわたって相手ゴール前で攻め続けたが、トライは奪えない。終盤にも疲れが見え始めたサモアを攻めたが、決定力を欠いて点差を詰められなかった。

 カーワン・ヘッドコーチは「全てはW杯で2勝するための過程」と強がったが、サモア戦完敗のショックは計り知れない。パシフィック・ネーションズ杯の残り2戦ではW杯で当たるトンガとも対戦する。菊谷主将は「3戦全勝すると大口を叩いて申し訳ありません。気を取り直して戦いたい」と巻き返しを誓った。

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2011年7月3日のニュース