白鵬 被災地に土俵再建…不足分は「懸賞金から」

[ 2011年6月29日 06:00 ]

朝げいこで四股を踏む横綱白鵬

 十両以上の関取で構成する力士会が28日、名古屋場所(7月10日初日)の会場となる愛知県体育館で開かれ、東日本大震災の義援金として106万円を集めた。会長の横綱・白鵬(26=宮城野部屋)は義援金を岩手県山田町の土俵の修理費に充てることを提案。大津波で損大な被害を受けたため修理費は1000万円を超えるが、足りない分は自らが本場所で獲得した懸賞金から出すことを約束した。

 津波に土俵を流され、稽古ができなくなった子供たちのために力士会が動いた。前回の会合で全関取が10年間にわたって毎月1万円を寄付することを決め、今回から集金を開始。会長の白鵬は「まずは自分たちでできることからやりたい」と集まった106万円を日本ユネスコ協会連盟を通じて岩手県山田町の“土俵再建”に充てることを提案し、了承された。

 6月の被災地巡回慰問で山田町を訪れた際に津波で土俵が流されたことを聞き、その再建のために以前から親交のあったユネスコの担当者に相談。同協会を通じて山田町に募金を渡すように調整してもらうことになった。

 山田町には「前須賀相撲道場」という相撲教室があり、震災前は40~50人の小中学生が同町の前須賀公園相撲場で稽古に励んでいた。しかし、同公園は海抜0メートルの場所にあったことから、子供たちのまわしとともに全てが流された。

 町内の2つの小学校にも土俵はあるが、いずれも避難所となっており稽古は行えない状態。山田町役場・生涯学習課長の菊地光明さんは「今は稽古よりも生活の方が大事。土俵が戻ってくるのであれば本当にうれしい」と話した。

 再建費用の見積もりは1000万円を超えるが、白鵬は「足りない分は(自分が獲得した)懸賞金から出す」と明言。9月には隣町の大槌町、宮古市の小中学生が山田町に集まり沿岸相撲大会も開かれる予定で、山田町ではそれまでに土俵を再建したいとしている。被災地の子供たちの思いを胸に、白鵬は8連覇と20度目の優勝が懸かる名古屋の土俵に上がる。

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