2時間56分の死闘…クルム伊達、元女王に逆転負け

[ 2011年6月23日 06:00 ]

女子シングルス2回戦 第1セットを奪いガッツポーズのクルム伊達公子

ウィンブルドン選手権第3日

(6月22日 英ロンドン・オールイングランドクラブ)
 あと一歩だった。クルム伊達が金星を逃した。女子シングルス2回戦で世界ランク57位のクルム伊達公子(40=エステティックTBC)は、15年ぶりに立ったセンターコートで、過去5度優勝のビーナス・ウィリアムズ(31)に7―6、3―6、6―8と惜敗した。最後は力尽きて、1968年のオープン化以降では最年長となる3回戦進出を逃したが、元世界ランキング1位の相手に食い下がり、2時間56分の熱戦を繰り広げた。

 クルム伊達が元世界女王を追い詰めた。タイブレークのない最終セットはお互い1ブレークずつ奪ってイーブン。6―7で迎えた第14ゲーム。クルム伊達のバックのストレートのパッシングショットがわずかに外れ、3時間近い死闘に終止符が打たれた。悔しい表情でコートを去ったが、満員の観客からは惜しみない拍手が送られた。

 「きょうはとてもいい戦いができた。がっかりしているし、惜しかった。しかし、自分のテニスができてとてもハッピーだ。5度優勝の相手にいいプレーができた」。クルム伊達は満足そうに話した 

 センターコートに立つのは96年7月5日の女子シングルス準決勝で、当時の女王シュテフィ・グラフ(ドイツ)と熱戦を繰り広げて以来5465日ぶりだった。外は雨が降っていたが、2年前に取り付けられた開閉式の屋根が芝のコートを覆った。女子シングルスで4強の日本勢最高成績を残した思い出のセンターコート。クルム伊達は天井をじっと見上げてから、V・ウィリアムズのサービスゲームに臨んだ。

 ウィンブルドンで歴代3位の5度の優勝を誇るV・ウィリアムズとは初対決だった。96年に4強入りした後、同年11月に一度は引退した。その後、妹のセリーナとともに女子テニス界をリードしたのがパワーヒッターのビーナスだ。「スピードとパワーではかなわないけど、やってみないと分からない」。第1セットは5―1から追い上げられてタイブレークに持ち込まれたが、7度目のセットポイントをものにして先取した。

 スタンドには男子のエース錦織圭(21=ソニー)やフェド杯日本代表の村上武資監督(46)らが陣取り声援を送った。1回戦でケイティ・オブライエン(英国)に勝利。この種目では68年のオープン化(プロ解禁)以降、2番目の年長勝利者となり「15年もたって1回戦に勝てたことはミラクル」とテニスの“聖地”で喜びをかみしめながら戦った。

 引退、結婚を経て08年4月に現役復帰。挑戦し続ける40歳は、最終セットも前に出続けて互角にわたり合った。わずかの差で敗れたが、2日間にわたる熱戦を繰り広げたグラフ戦に続いて、センターコートの歴史に再びその名を刻んだ。

 ▼V・ウィリアムズ 彼女(クルム伊達)のプレーは素晴らしかった。私が凄く良いアプローチショットを放っても、何度もパッシングショットを決められた。最初はどうしようもなかった。試合に集中し、終盤はかなり動きが良くなってきた。この試合を切り抜けた意味は大きい。

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2011年6月23日のニュース