“柔道王”復帰即V!吉田監督「ドキドキした」

[ 2011年5月29日 06:00 ]

柔道の全日本実業団体対抗大会男子3部でパーク24を優勝に導いた新監督の吉田秀彦氏

柔道・全日本実業団体対抗大会第1日

(5月28日 愛媛県武道館)
 92年バルセロナ五輪の男子78キロ級金メダリストの吉田秀彦監督(41)が率いるパーク24が、男子3部で圧倒的な強さを見せ初優勝。昨年4月に総合格闘技を引退し、今月12日に正式に柔道界復帰を果たした吉田監督にとっては、幸先の良い初陣となった。また、女子1部は世界選手権(8月、パリ)78キロ級代表の池田ひとみ(25)らの活躍で、自衛隊が初優勝を飾った。

 優勝が決まると“柔道王”の表情に、ようやく笑みが浮かんだ。「自分でやっていた方が楽ですね。ドキドキするのは疲れる」。9年ぶりとなる柔道界への復帰戦。そして、母校・明大で02年3月まで務めた監督業へのカムバック。吉田は「優勝できたのはいいけど、来年(昇格する)2部で優勝争いできるかな」と照れくさそうに先を見据えた。

 パーク24は、創部2年目。試合に出場する5人のうち3人は4月入社の新人だ。「寄せ集めのチーム。1人がケガしたら、選手はもういない」。だが、3部なら実力の差ははっきりしていた。決勝も5―0の圧勝。「ドキドキした」のは、重圧を自らに課した指揮官だけだった。

 昨年4月25日に総合格闘技を引退し、柔道界へ復帰した。今月12日の就任会見で「日本の柔道界にスターがいない」と苦言を呈した。だからこそ、自らの手で選手をつくる。この大会で5年以内に日本一になり、五輪代表を出す。愛する柔道界のための約束。負けられない戦いだった。

 会社の横断幕には自ら「忍耐」としたためた。「社会人1年目は、我慢できない子が多い。歯を食いしばって、やってほしい」。それは、チームだけでなく、日本男子にも向けられたエールだ。「再来年には1部に上がっていたいけど、1部で優勝争いできるチームになるには何年かかるかな」とつぶやいたのは、勝負の厳しさを知る男ならでは。頼もしい男が、畳に帰ってきた証でもあった。

続きを表示

2011年5月29日のニュース