矢野V宣言!イケイケ&イライラ封印で単独首位

[ 2011年5月22日 06:00 ]

18番、バーディーを奪い、声援に応える矢野東

とおとうみ浜松オープン第3日

(5月21日 静岡・グランディ浜名湖ゴルフクラブ=7028ヤード、パー72)
 矢野東(33=フリー)がイケイケを封印し、3年ぶりの優勝に向けて単独首位に浮上した。7バーディー、1ボギーの66をマークして2位に3打差の通算16アンダー。「一度もミスショットがなかった」という自画自賛のゴルフで、自信に満ちた優勝宣言も飛び出した。石川遼(19=パナソニック)は1イーグル、3バーディー、1ボギーと3日連続の68で通算12アンダーの6位。4打差から最終日の逆転優勝に懸ける。
【第3R成績】

 イラッとして毛が逆立ちかけた。6番でのバーディーパットは上りの5メートル。絶好のラインとあって、矢野は打つ前から小岸秀行キャディー(37)に「絶対に入るよ」と宣言していた。ところが、入れたい気持ちが前に出すぎたパットは1メートル強オーバーした。

 その瞬間に、小岸キャディーから「ちょっと抑えてください。ゆっくりやりましょう」となだめられた。「出だしのバーディーで強気になりかけてたけど、あえて自分を引き戻した」と“初心”を思い出してイケイケを封印。続く7番パー3では30センチにつける会心のバーディーにつなげた。11番では3パットで唯一のボギーを叩いたが、「ショットは18ホールで1回もミスしてない。こんなゴルフは初めて」と驚きを込めて振り返った。

 今季はここまで4戦中3試合で予選落ち。調子がいい分、優勝を狙って強気に攻めて墓穴を掘っていた。4位に入った2戦目のつるやオープンのようにハマれば強いのだが、ミスが出ると頭に血が上って自滅する。だから今週は予選突破を目標に据えた。「それならミスしても、そんなにイライラしない」と「攻めるよりも一歩引いた」コースマネジメントを心がけて首位に立った。

 もともと熱くなりやすいタイプだけに、メンタルコントロールには偉大な先人の言葉も役に立っている。今オフには“近代ゴルフの父”とも言われるベン・ホーガンの著書を読みあさり、「メジャーを何度も勝った人でさえ毎日苦しんでいたんだ」と気づかされた。本の中に見つけた「目の前の一打に集中しなさい」という言葉は、メモに書き取って心に刻んでいる。

 この日のパーオン率は100%。イケイケもイライラもない完璧なゴルフを実践できた。「本当に一打一打に集中してプレーできさえすれば、自分は間違いなく優勝すると思っている」。確信に満ちた表情で3年ぶりの優勝だけを見据えた。

 ▽ベン・ホーガン 1912年8月13日、米テキサス州ダブリン生まれ。メジャー9勝を含む米ツアー通算64勝を挙げた米国のプロゴルファー。その美しいスイングはプロ、アマ問わず現在も信奉者が多く、著書「モダンゴルフ」は世界で最も読まれたレッスン書と言われている。97年死去。

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