突然の悲報に…ミズノ・渡辺コーチ「ジョークだろうと思った」

[ 2011年5月16日 19:24 ]

 宮城・仙台育英高時代にワンジル選手を指導したミズノの渡辺高夫コーチは16日、東京都内で記者会見し「こんなに寂しい記者会見は初めて。ジョークだろうと思った」と突然の悲報に声を詰まらせた。

 最後に電話で話したのは3月下旬。女性問題や交通事故など競技外でのニュースを伝え聞いており「我慢、我慢の精神で北京五輪で金メダルを取っただろう。人生や社会も我慢の連続だよ」と語りかけたという。その時は「もう大丈夫。奥さんとも仲直りした」との返事だったが、今回も女性問題が引き金だった。

 ケニア在住で留学の橋渡しをしたスポーツコーディネーターの小林俊一氏は「五輪金メダリストらしく、しっかり練習しろ」と忠告したこともあったという。最近は酒に溺れるようになり、精神的にも不安定だったという。「15歳でサバンナを走る彼を見た時はシューズも履いていなかった。実感が湧かず、涙も出ない」と話した。

 日本陸連の瀬古利彦理事は「日本で我慢を覚え、2時間2分台のマラソン世界新も出せる能力があった。あまりにもったいない」と惜しみ、木内敏夫・強化統括ディレクターは「日本とケニアの懸け橋になってほしかった。高校から日本で育って、あと10年は現役で走れたと思う」と早すぎる死を悼んだ。

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2011年5月16日のニュース