ワンジル選手転落死 女性との“現場”を妻に見つかり…

[ 2011年5月16日 17:17 ]

2008年8月、北京五輪の男子マラソンで、金メダルを獲得したケニアのサムエル・ワンジル選手

 2008年の北京五輪男子マラソン金メダリストで、宮城・仙台育英高に留学して日本にも縁が深かったサムエル・ワンジル選手(24)が15日、母国ケニアの自宅で死亡した。AP通信は地元警察の話として、女性関係のトラブルが原因の自殺、または事故死と伝えた。

 首都ナイロビから約150キロ北西のニャフルルにある自宅で、女性と一緒にいるところを妻に見つかり、口論の後にバルコニーから飛び降りた。同選手は酒を飲んでいたという。新華社電は飛び降りたのは逃げた妻を追いかけるためだったと報じた。

 ワンジル選手は15歳で来日し、高校駅伝などで活躍した後、社会人のトヨタ自動車九州で実力を伸ばした。一昨年のロンドン・マラソンで優勝し、シカゴ・マラソンは昨年まで2連覇した。

 しかし昨年12月に妻らを脅迫したなどとして告訴され(後に取り下げ)、ことし1月には交通事故で軽傷を負った。4月のロンドン・マラソンは右膝の故障で欠場した。

 ▼渡辺高夫・仙台育英高前総監督の話 うそだろうと思った。私が知っているワンジルは忠実で真面目。残念、無念で悔しい。言葉にできない。

 ▼瀬古利彦・日本陸連理事の話 日本で我慢することを覚え、2時間2分台の世界新も狙える偉大な選手だった。彼が頑張ることで、日本のマラソンが進むべき道も間違っていないと世界から認められると思っていた。

 ▼宗猛・旭化成監督の話 北京五輪で金メダルを獲得し、ハングリーなものが残っていたかどうか。日本できちんとやっていたら、いい形での競技人生を送れていたと思う。非常にもったいない。

 ▼木内敏夫・日本陸連強化統括ディレクターの話 日本とケニアの懸け橋になってほしかった。高校から日本で育って、あと10年は現役で走れたと思う。あまりにも残念だ。(共同)

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2011年5月16日のニュース