白鵬 大鵬超えた!史上最速で幕内500勝

[ 2011年5月13日 06:00 ]

北太樹(左)を寄り切りで破り、幕内通算500勝を達成した白鵬

大相撲技量審査場所5日目

(5月12日 両国国技館)
 横綱・白鵬が北太樹を寄り切って初日から5連勝を飾り、史上最速の幕内500勝を達成した。新入幕から42場所目の5日目での達成は大鵬の記録を6日上回る記録。白鵬は技量審査場所での区切りの勝利に微妙な感情を抱きつつも、記録達成後には努めて明るく振る舞った。5戦全勝は白鵬と平幕の魁聖と豊響。豪栄道は琴欧洲を破り、4大関を総なめした。
【取組結果】

 節目の勝利を挙げても表情は険しかった。白鵬にとって技量審査場所は「準場所という気持ち」と表現するなど複雑な心境を抱く場所だが、努めて前向きなコメントを残すことで場所を何とか盛り上げようとした。

 「こういう場所ですが勝敗は記録される。きょうの白星ももちろん記録される。明るい話題だしいいニュースだと思う」

 北太樹に立ち合いで当たり勝ち、左上手を握って難なく寄り切り。大鵬を6日超えて史上最速幕内500勝。達成時の勝率も大鵬、北の湖、貴乃花ら名横綱を上回った。

 八百長問題が発生してから約3カ月間、白鵬は無力感に陥った。3月11日。自らの26度目の誕生日に大地震が起きた。「こんな時こそ相撲で日本を勇気づけたい」というのが本音だったが、春場所は中止。さらに同郷で同期の猛虎浪が八百長問題で角界を去った。夏場所も通常開催はできず、ボイコットすら考えた。

 白鵬を思いとどまらせたのは横綱としての誇り。この日の朝にフランスのスポーツ総合誌「レキップ・マグ」から「日本のアスリートは震災にどう向き合ったか」のテーマで取材を受けた。場所前に被災地に出向いた白鵬は「日本は強い。この国の横綱として誇りに思う」と答えた。場所前々日には尊敬する元大鵬の納谷幸喜さん(70)を訪ね、あらためて横綱道とは何かを聞いた。「相撲が終われば、この国は終わる」と感じているだけに、場所が開催されるありがたさを考えれば前を向くしかなかった。

 序盤戦を終えて上位陣の無敗は一人だけ。「次の目標はない。あと10日間、頑張るだけ」。どんなに異例の場所でも白鵬は勝利を追い求めるだけだ。

 ▼元横綱・大鵬の納谷幸喜氏 今場所の白鵬は自分から攻めていこうとしている。相手の動きもよく見えている。記録は素晴らしいね。これからも気持ちを引き締めて頑張ってほしい。ただし、記録は追うものでなく結果的についてくるものだということも忘れないでほしい。

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