愛ちゃん“未知”の北朝鮮選手に苦戦も3回戦進出

[ 2011年5月12日 06:00 ]

女子シングルス2回戦で、北朝鮮選手を破りガッツポーズの福原愛

卓球世界選手権個人戦第4日

(5月11日 ロッテルダム・アホイアリーナ)
 卓球世界選手権個人戦女子シングルス2回戦で福原愛(22=ANA)は北朝鮮選手と対戦。国際大会出場経験がほとんどない未知の相手に苦しみながらも、4―2で勝ち3回戦に進出した。平野早矢香(25=ミキハウス)はセルビア選手にストレート勝ち。石川佳純(18=IMG)も谷岡あゆか(16=エリートアカデミー)を下し、ロンドン五輪のシングルス出場権を争う3選手はそろって3回戦に進出した。福原は岸川聖也(23=スヴェンソン)と組んだ混合ダブルスで8強入りも決めた。

 ラケットをブンと振り下ろし、自らに怒りをぶつけた。第4ゲーム途中に追いつかれ、福原には珍しく、いら立ちが態度に出た。思わぬ苦戦。ただ「厳しい試合になることは初めから分かっていた」と振り返った。

 相手のキム・ヘソンは世界ランク134位。だが、プロツアーなどに出場しないためランクが上がらないだけで、実力は未知数。96年アトランタ五輪の柔道で田村(当時)亮子が同じ北朝鮮のケー・スンヒに苦杯を喫したのと同じ苦境だった。

 第2ゲームまでは順調に進めたが、第3ゲームを落とすと、その後は一進一退。「情報がなかった」ため、戦法を探りながらの戦いとなった。「思った以上にラリーが続いた」。第6ゲーム、10―4とマッチポイントになってからも3連続失点で、タイムを要求。だが、あわやの場面をはね返す底力が、今の福原にはあった。

 負けられない理由があった。今大会終了後の世界ランク上位2人が、ロンドン五輪のシングルス出場権を獲得する。日本勢トップの7位とはいえ、続く石川、平野との差はわずか。変則スケジュールで日本女子の最後に2回戦に登場した福原にとって、すでに3回戦進出を決めていたライバル2人の存在は、大きな重圧だったに違いない。

 だが、福原自身が挙げた今大会のテーマは“諦めない”こと。東日本大震災で甚大な被害を受けた故郷・仙台への思いは、1球1球に込められている。「最後まで、あきらめなかったのがよかった。冷静になれた」。ギリギリの戦いを繰り返しながら発する福原のメッセージは、被災地にも必ず届く。

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2011年5月12日のニュース