技量審査場所初日 ピリピリ支度部屋

[ 2011年5月9日 06:00 ]

減灯の中で行われた大相撲技量審査場所

技量審査場所初日

(5月8日 東京・両国国技館)
 八百長問題で揺れに揺れた大相撲が、信頼回復への第一歩として位置づける「技量審査場所」が8日、東京・両国国技館で始まった。一般に無料公開される中で土俵では熱戦が繰り広げられたが、その一方で、4月に行われた力士会の臨時会合では場所ボイコットをめぐって力士間に微妙な溝が生じていたことも判明。さらに、協会の八百長再発防止策により超厳戒態勢が敷かれた支度部屋にはピリピリムードが充満するなど、波乱含みの再スタートとなった。
【取組結果】

 力士が八百長の交渉の場としていたとされる支度部屋の雰囲気がガラリと変わった。十両以上の取組が始まると、東西の支度部屋に監察委員の親方1人と世話人1人がペンとノートを持って力士を監視。出番前に談笑する関取や支度部屋に出入りする外部関係者の姿はなかった。国技館の北口と南口では協会関係者が力士らに携帯電話を持ち込ませないよう全員に提出を命じた。新聞、雑誌、漫画を持ち込む力士も一切いなかった。

 東支度部屋の一番奥に陣取る横綱・白鵬は「みんなを見ていて引き締まった雰囲気だった」と振り返り、同じく東支度部屋の入り口近くで控える旭天鵬も「一人一人に前とは違う静かさがあった」と感想を述べた。特に三役以上の力士は付け人にすら話しかけずに精神集中する姿が目立った。

 これまでにはない緊迫感が支度部屋に漂ったのは力士への監視が強化されたからだけではない。八百長問題に端を発し、この3カ月余りで力士間に“しこり”が生じていたことも背景にあった。協会が八百長関与認定者23人に引退を勧告するなどした2日後の4月3日。十両以上の関取で構成する力士会が臨時会合を開き、その中で、モンゴル出身力士から次の場所をボイコットする声が上がった。処分された幕内6人のうち4人がモンゴル出身者だっただけに白鵬もこの意見に同調。大関・魁皇が諭して何とか事なきを得たが、ある力士は「えーっと思った」と明かし、一体となって場所に向かう空気は完全に消えてしまった。

 この日、国技館(約1万1000人収容)には徹夜組を含め約1万人のファンが集まり、4カ月ぶりに見る力士の取組に温かい声援が送られた。放駒理事長(元大関・魁傑)は「力士は忸怩(じくじ)たる思いがあるでしょう」と信頼回復を目指す力士たちの思いを代弁したが、関取衆にピリピリムードが漂っていることは事実。超異例の場所は、信頼回復への第一歩どころか、さらなる波乱を招きそうな雲行きだ。

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