関取4人減も“穴埋め優先”!負け越しても十両昇進?

[ 2011年5月5日 06:00 ]

<八百長再発防止策発表会見>報道陣の質問に答える放駒理事長(中央)。左は二所ノ関監察委員長、右は貴乃花審判部長

 日本相撲協会は4日、東京・両国国技館で臨時の理事会と評議員会を開き、名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)の十両以上(関取)の定員を現行の70人から66人に変更することを決めた。八百長問題で関取17人が引退、解雇となった暫定措置で、秋場所には70人に戻す。欠員をそのまま穴埋めすることはしなかったが、幕下からは13人以上が昇進するため、負け越しても十両に昇進する力士が大量に生まれる可能性が出てきた。

 理事会では、技量審査場所の成績を基に作成される名古屋場所の番付編成について協議。八百長関与で17人の関取が解雇、引退となり大量の“欠員”が出たものの、結局その穴を全て埋めることはせず、暫定措置として幕内、十両を1枚(2人)ずつ減らし、定員を70人から66人に縮小することを決めた。貴乃花審判部長(元横綱、評論家)は「一度に17人を昇格させるのでなく、無理のない範囲で行う形にした」と説明した。

 これにより名古屋場所では最低でも13人を補充することなるが、相撲協会によると、一度に13人も十両に昇進するのは1947年(昭22)夏場所(当時は6月)の12人を上回り戦後最多となる。また、貴乃花審判部長は「上がり優先ですが、結果的に幕下上位で負け越した人でも昇進する可能性はある」と示唆した。評議員会では「負け越して十両はおかしい」という意見もあったが、協会幹部は「(引退した力士らの穴を埋めるために)幕下、十両、幕内の垣根を取って作り直す。幕下の筆頭は負け越しても十両になる」と説明したという。この理屈でいけば、本来なら「71番目」の序列となる東幕下筆頭の碧山(あおいやま)は実質的には「54番目」。3勝4敗なら5枚程度しか降下しないため、十両に昇進できる計算になる。

 負け越して番付が上がったケースとしては、幕内と十両の定員を2人ずつ増やした04年初場所で、前の場所で7勝8敗だった武州山が西十両12枚目から西11枚目になったが、十両昇進となれば戦後初の珍事。入門11年目の華王錦(西幕下3枚目)やチェコ出身で来日9年目の隆の山(東同2枚目)ら“苦労人”には千載一遇のチャンスが到来した。

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2011年5月5日のニュース