避難所初訪問…遼、被災者からの激励に「まさか…」

[ 2011年5月3日 06:00 ]

被災者を慰問に訪れ、避難所であいさつする石川

 男子ゴルフの石川遼(19=パナソニック)が2日、東日本大震災で被災した福島県から206人が避難している埼玉・瑞沼市民センターを訪問した。絵本を読み、ゴルフゲームで子供たちと触れ合い、お年寄りから避難生活の話を聞くなど約1時間半を一緒に過ごした。被災者を激励する一方で、自らも今後の試合に向けた活力を受け取った。

 避難所となっている体育館に、初めはおそるおそる足を踏み入れた。「家に入っていくようなもので、プライベートな空間にお邪魔していいのかという気持ちだった。正直凄く緊張した」。石川なりに抱いていた気遣い。しかし、予想とは違った歓迎ムードが緊張をほぐしてくれた。

 瑞沼市民センターでは現在68世帯、206人の被災者が避難生活を送っている。そのほとんどが福島第1原発事故の影響で緊急時避難準備区域となっている福島県広野町の住民で、3月中旬に移ってきた。石川の訪問が知らされたのは2日前。子供たちは朝から心待ちにし、学校の先生をせかして駆け足で避難所に戻ってきた。もちろん大人たちも同じだった。

 石川は液晶テレビやゴルフゲーム、本や将棋などの遊具をプレゼント。子供たちにはイソップ童話を読み聞かせたり、一緒にゲームをし、それぞれの居住スペースを巡回して避難生活の実情を聞いた。自宅からは車で約15分。「僕の家からそんなに遠くない場所なのに、自分の恵まれた環境とこれだけ違いがあるというのはショックだった」。石川の住む埼玉県松伏町でも数十人が親類を頼って避難生活を送っており、この日は町役場にも物資を届けた。

 しかし、与えたばかりではない。多くの人から「ゴルフ頑張ってください」と激励を受け、イラストレーターになるのが夢だという新田麻衣さん(14)からは「りょうくんありがとう」というメッセージ入りの似顔絵も受け取った。「まさか“頑張って”と言われるとは思ってなかった。皆さんの元気さ、パワフルさが伝わってきた。僕も決してあきらめないプレーというのを、これからもっと極めていきたい」。むしろ得るものが多かったのは石川の方だったのかもしれない。

 <男子ツアーに被災者招待プラン>男子ツアーでは被災者をトーナメントに招待するプランが浮上している。茨城・宍戸ヒルズCCで行われる日本ツアー選手権(6月2~5日)では、主催者となる日本ゴルフツアー機構が県内の被災者らを招待する意向で、人数などの具体的な計画を練り始めた。今月26日からのダイヤモンド・カップも、この日石川が訪れた避難所に近い千葉CCでの開催。主催者は何らかの形で被災者を招待する意向だという。また、選手会では今回の石川のような避難所訪問などを予定しており、男子ゴルフ界もさまざまな形で支援活動を進めていくことになる。

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