真央 苦手リンクも被災地へ勇気届ける演技誓う

[ 2011年4月28日 06:00 ]

公式練習で、調整する浅田真央(手前)を見つめるキム・ヨナ(中央奥)

フィギュアスケート世界選手権

(モスクワ)
 昨年優勝の浅田真央(20=中京大)が東日本大震災から復興へ向かう日本の代表としての誇りを胸に2連覇へ挑む。26、27日と練習を行い、29日のショートプログラム(SP)、30日のフリーへ向けて、被災者へ勇気を届けるパフォーマンスを誓った。

 ジャージーの胸に日本連盟の用意した「甦れ日本!!」のステッカーと喪章をつけてリンクに現れると、浅田は感覚を確認するように滑りだした。震災の影響で3月東京開催から1カ月遅れのモスクワ開催に変更となり、調整の難しさが心配された今大会。26日の本番リンクでの初練習ではトリプルアクセルに4度挑戦し、失敗したのは1回だけだった。「滑りだしにしてはまあまあかな」と手応えを強調した。

 ただ、着氷した3回とも回転不足気味で、27日の練習でも回転不足になるなど課題を残した。会場の「メガスポルト」は昨季のロシア杯で5位に沈んだリンクで「ここではいい演技をしたことがない」と縁起の悪さもある。1年ぶりに実戦復帰する五輪女王のキム・ヨナ(韓国)は練習で好調をアピール。試練は多いが、浅田は「今、日本は大変な時期。自分にできることは日本代表選手として、自分の力を発揮すること」といつもの大会とは違う心意気を口にした。

 3月11日の地震発生時は愛知県の自宅にいた。被害の大きさを知り「現実じゃないみたいで、言葉にならなかった」と心を痛めた。本当はチャリティー活動にも参加したかった。だが、競技を優先し、夏まで控えることにした。3月の東京開催の中止が決まって3日間休んだ際には「焦りはあった」と言うが、「今は不安もない」状態まで心の準備も整えた。

 昨季まで師事していたタラソワ・コーチに再会すると「ボディーがスリムだから大丈夫」と太鼓判を押された。「2連覇の期待はあるかと思う。まずはやってきたことを見せたい」。被災地に元気を届ける日本女子初の2連覇。それをできるのは浅田しかいない。

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