白鵬、技量審査場所前に胸中吐露「優勝しない方が…」

[ 2011年4月26日 06:00 ]

複雑な表情を浮かべ、記者会見する白鵬

 大相撲の横綱・白鵬(26)が25日、東京都墨田区の宮城野部屋で記者会見し、技量審査場所(5月8日初日、両国国技館)に向かう現在の心境を語った。八百長問題の影響で夏場所の代わりに開催される技量審査場所は、本場所として扱われず、天皇賜杯授与などの外部表彰も行われない。しかし記録は正式なものとして残る。白鵬にとっては史上1位に並ぶ7連覇が懸かる場所となるが「記録なんてどうでもいい」と話すなど揺れる思いを打ち明けた。

 本来なら夏場所の番付が発表されるはずだったこの日、白鵬が技量審査場所を前にした胸中を吐露した。「もう二度と泣きたくない。優勝しない方がいいんじゃないかな。“こんな場所は二度とないようにしたい”と名古屋場所の優勝インタビューで言ったけど、それがまた起きた。もう1人(プレッシャーを分け合う)横綱がほしいかなという気持ちかな」。昨年7月の名古屋場所は野球賭博問題の影響で天皇賜杯授与が行われず、白鵬は優勝インタビューで号泣した。その“悲劇”が繰り返される。横綱は戦う気力を失いかけていた。珍しく弱音も吐いた。

 技量審査場所は外部表彰などはないが、無料で一般公開され、記録は正式なものとして扱われる。白鵬にとっては、朝青龍に並ぶ史上1位タイの7連覇が懸かる場所だが「記録はどうでもいい。一生懸命やるだけで、結果は後から付いてくる」と話す。初場所前までは、番付発表時に具体的な目標を公言。モチベーションを高めて場所に臨んでいたが、今回はそういう心境になれなかった。

 その上、NHKの中継も行われないため、東日本大震災の被災地を含む日本中のファンに勇気を与えることもできない。募金や炊き出しなど既に10回以上も被災者支援活動を行ってきた白鵬だけに「日本が大変なときに相撲を取っている場合ではない気持ち」と「今こそやらないといけないという気持ち」が頭の中で交錯しているという。

 初日まで残り約2週間。「前向きにやればいい。いつもの東京場所のように自分の流れで調整したい」と自分に言い聞かせるように話した。横綱として前を向かなければならないことは誰よりも分かっている。

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2011年4月26日のニュース