高山 賞金王コンビの重圧に負けず開幕戦V!

[ 2011年4月18日 06:00 ]

<東建ホームメイトカップ・最終日>優勝を決めた高山は妻の梢さんと優勝カップを手に記念写真を撮る

男子ゴルフツアー東建ホームメイト・カップ最終日

(4月17日 東建多度カントリークラブ名古屋(7081ヤード、パー71))
 首位からスタートした高山忠洋(33=法仙坊GC)が、2人の歴代賞金王に競り勝って開幕戦を制した。石川遼(19=パナソニック)、片山晋呉(38=フリー)と同組で回り、5バーディー、4ボギーの70で通算8アンダー。片山の追い上げを受けながらも15番でこん身のバーディーを決め、ツアー4勝目を勝ち取った。同じく70とスコアを伸ばした片山が2打差の2位。4バーディー、5ボギーの72だった石川は3打差の3位に終わった。
【最終R成績】

 じわじわ迫ってくる賞金王の重圧にさらされ、息が詰まる思いで18ホールを戦い抜いた。ウイニングパットを沈めた高山は、関係者の祝福に笑顔で応えつつ「苦しかった。苦しかった」と何度も繰り返した。

 最終組は片山、石川とのマッチアップだった。前半は調子の出ない2人を尻目にリードを広げたが、後半に入ると一時の5打差が次第に縮まってきた。「3人とも口数が少なくなって雰囲気も重苦しくなってきた」。そんな中で勝敗の分岐点となったのは15番パー4だった。

 14番をバーディーとした片山とは2打差。相手はさらに15番も2メートルのチャンスにつけてきた。「晋呉さんがノッてきたのは感じてた。でも気持ちで負けないぞと思った」。高山は先に7メートルのバーディーパットをねじ込んで気迫のガッツポーズ。すると直後に片山が絶好のチャンスを外した。

 昨季は8月に5年ぶりの優勝を飾った後、3週続けて予選落ちした。体力不足を痛感し、今オフは「合計で400キロ」という走り込みを断行した。秀島正芳トレーナー(28)に尻を叩かれながら「脈拍を200以上にしての400メートル、800メートル、1500メートル走」の繰り返し。食事制限によるダイエットも行い、体重は5キロ減の82キロまで絞れた。その苦労が早くも報われて「歴代賞金王を倒せたので、最後まで賞金王争いに加われる強い選手になりたい」とさらなる高みを見据えた。

 前夜には親交のあるプロ野球・楽天の山崎武志から電話があった。震災後は電話できずにいたが「元気な声を聞いて安心した」と被災地を本拠に戦う山崎との会話は大きな励みになった。男子ツアーも賞金の6%を義援金に回し、会場でも募金を呼びかけている。「本当に無力で何をしたらいいのか。でも、もしかしたら被災地の方が観戦してるかもしれないという気持ちでいた」。気迫と気持ちを込めた高山のプレーが、今年のツアーの幕開けを告げた。

 ◆高山 忠洋(たかやま・ただひろ)1978年(昭53)2月12日、和歌山県出身。和歌山・星林高では野球部に所属。同校OBのソフトバンク・小久保と親交がある。高校卒業後にプロゴルファーを目指して法仙坊GC(岐阜)の研修生となり、3年後の99年にQTで72位に入りプロに転向した。05年の東建ホームメイトカップでプロ初勝利を挙げ、今回でツアー通算4勝。1メートル76、82キロ。得意クラブはSW。

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