遼くん成長実感!“3度目の正直”で予選突破

[ 2011年4月10日 06:00 ]

マスターズ第2ラウンドの15番、バーディーを奪いパトロンの声援に手を上げてこたえる石川遼

第75回マスターズ第2日

(4月7日 米ジョージア州オーガスタ オーガスタ・ナショナルGC=7435ヤード、パー72)
 石川遼(19=パナソニック)が“3度目の正直”で予選を突破した。苦手の16番パー3をパーで切り抜けるなど成長を実感させるプレーで3バーディー、2ボギーの71をマークし通算2アンダーの20位で決勝ラウンドに進んだ。初出場のアマチュア松山英樹(19=東北福祉大2年)も73と粘り通算1オーバーの43位で日本人最年少での予選通過を決めた。ロリー・マキロイ(21=英国)が通算10アンダーで首位。66で回ったタイガー・ウッズ(35=米国)が通算7アンダーの3位に浮上した。

 クラブハウス前の大きなオークツリーの下、1年前悔し涙を流した場所で石川は「うれしくて泣きそうです」と充実感あふれる笑顔を浮かべた。

 3度目の挑戦も道のりは平たんではなかった。11、12、13番は風が強くスコアが動くため「アーメンコーナー」と呼ばれる。その難所を乗り切り通算2アンダーで迎えた14番で1メートルのパーパットを外した。昨年2日目も崩れ始めたホールでボギー。悪夢の再現を予期させた。だが、今年は違った。続く15番パー5で2・5メートルのバーディーチャンスを迎えると「練習通りのストロークができた」と上りのパットを十分な強さでカップに沈めた。

 そして16番パー3では2年間の練習の成果を示した。ピンは過去2年と同じ右手前。バンカーとの間はわずか5ヤードしかない。09年はバンカーに入れて予選落ちを決定的にするダブルボギー。昨年は左にそれて段の下にこぼしてボギー。その鬼門ホールを攻略した。

 9番アイアンで狙い定めた1打は手前2・5メートルへピタリ。「去年は1ヤード左にいってしまったけど、その1ヤードをこの1年で打てるようになった確信を持てた。あれは意味のあるショットだった」。バーディーこそ奪えなかったが成長を実感し予選通過をたぐり寄せた。

 2月から米ツアーに参戦しながら結果が出ずに自信を失いかけた。だが、オーガスタ入りしてからはウッズとの優勝争いをイメージして気持ちを高めてきた。「ひょっとしたら土日にタイガーの近くで回れるかもしれない」。ラウンド中に抱いた期待は最終日に持ち越されたが、そのウッズも石川を認めている。

 マキロイ、デイ、ファウラーら若手の活躍について感想を求められたウッズは「彼らだけじゃなくてリョウも忘れないでほしい。あの年代の選手たちがこれから10年、15年でどう成長していくかを見るのは楽しみだ」と次代を担う選手の1人として石川の名前を挙げた。

 首位と8打差の20位で迎える初の決勝ラウンド。小学校の卒業文集に「20歳でのマスターズ優勝」と記した。その夢に一歩近づいた。残り2日間に向けて石川は「まずはトップ10を目指して、そして来年優勝争いするために何が必要なのかも考えながら土日をプレーしたい」と決意を口にした。確実にステップを刻みながら、その視線は次なる挑戦を見据えていた。

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2011年4月10日のニュース