パッカーズ下克上V!雑草QBロジャースがMVP

[ 2011年2月8日 06:00 ]

MVPに輝いたパッカーズのQBロジャース(右)とマスーズ

第45回スーパーボウル パッカーズ31―25スティーラーズ

(2月6日 テキサス州アーリントン=カウボーイズ・スタジアム)
 シーズン終盤の激闘を耐え抜いてきた古豪パッカーズが、接戦の末に最多優勝(6回)を誇るスティーラーズを破って14年ぶり4度目の戴冠。最下位シードからのスーパーボウル制覇は現行のプレーオフ・システムでは06年のス軍以来となった。3TDをパスでマークしたQBアーロン・ロジャース(27)がMVP。先発昇格3年目で夢にまで見た頂点に立った。

 第4Q中盤に自陣25ヤード地点で迎えた第3ダウン、残り10ヤード。リードは3点しかなく、ファースト・ダウンを逃せば敗北を覚悟しなくてはいけない状況だった。しかしロジャースはWRジェニングスに31ヤードのパスを通し、残り2分7秒にクロスビーがFGを成功。レギュラーシーズン終盤から「負けたら終わり」を5回繰り返してきた綱渡り軍団は、土壇場の危機をまたしても乗り越えた。

 最下位シードによる下克上。MVPのロジャースは「チームがずっと自分を信じてくれたことがうれしい。プレッシャーなんて皆無。ここには個性豊かで結束力の強い人間しかいないんだ」と喜びを爆発させた。1メートル78、75キロしかなかった高校時代、全米1部に所属する346の大学からすべて無視され、誰もが入学できるコミュニティー・カレッジで希望を探した雑草男。カリフォルニア大とパ軍にその才能を見いだされ、9年の歳月をかけて底辺から頂点へ到達した。

 プロ入り後、3年間はファーブ(バイキングスで今季引退)の控えだったが、今や誰もが認める看板QB。独身ゆえにゴシップ報道が相次ぎ、歌手、モデル、女優との交際がとりざたされたが、マッカーシー監督が「よくぞ相手の強力守備陣に打ち勝ってくれた」と絶賛したように、大舞台での存在感は際だっていた。

 第1回と第2回大会を制したパ軍の名将、ビンス・ロンバルディ監督の名がついた優勝トロフィーは、アメリカン・ドリームを結実させた司令塔によってグリーンベイに里帰り。人口10万人の小さな町は夜が明けても活気に満ちあふれていた。

 ▼スティーラーズ・トムリン監督 ロジャースは最後まで正確なパスを投げた。そこがわがチームとの違いだった。(38歳の指揮官。30代で2度目の優勝ならず)

 ▼スティーラーズDB・ポラマル 信じられないほど地味な結果。人生で一番つらい敗戦だ。(今季の最優秀守備選手。最後まで見せ場なし)

 ◆アーロン・ロジャース 1983年12月2日、カリフォルニア州チコ出身の27歳。地元のバット・カレッジからカリフォルニア大に転校し2年間プレー。大学4年には進級せず、05年ドラフト1巡目(全体24番目)にパ軍に指名された。1メートル88、100キロ。今季のパス・レーティングはリーグ3位。08年に6年総額6500万ドル(約53億円)で契約を更新。

 ▽グリーンベイ・パッカーズ リーグ最古のチームの一つで、1919年創立。スーパーボウル以前には9回のリーグ制覇を達成。スーパーボウル出場は今回が5度目で通算4勝1敗。グリーンベイはウィスコンシン州東部の都市で、缶詰産業が盛んだったことからPackerの名前がついた。

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