嘆く元NHK相撲アナ「前代未聞 伝統揺らぐ」戦後は仮設会場でも開催

[ 2011年2月6日 08:16 ]

大相撲・八百長

 日本相撲協会が5日、大相撲の春場所中止の方針を決めた。昭和以降の本場所中止は1946年の夏場所に続き2回目。だが、当時は戦後間もない時期で、被災した旧両国国技館の修理が遅れ、中止を余儀なくされた。

 元NHKアナウンサーで東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博さん(80)は「当時とは事情が違い、今回の中止は前代未聞と言っていい。先人が続けてきた伝統文化の大本が揺らいだ」と嘆く。

 46年には代わりに6月、大阪府で本場所と同形態の準場所を開催した。

 その後、国技館は連合国軍総司令部(GHQ)によってメモリアルホールとして使われるようになり、東京では明治神宮外苑などで仮設会場を設営しながら、場所を継続した。

 学生時代に仮設会場で相撲を見たことがあるという杉山さんは「当時のことを調べていた協会幹部から『どんな状況でも場所をやらなければならない』と聞いた。それだけ日本の文化としての重みがある」と話す。

 本場所は「力士の技量審査の場」として番付編成の重要な資料になる。杉山さんは、春場所がなくなったとしても「審査は大相撲の根幹。何らかの形で取組を行うしかないのではないか」と語り、非公開の取組が行われる可能性もあると考える。

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2011年2月6日のニュース