落胆と怒り…「国技の看板下ろせ」「お客さんは二度と戻ってこない」

[ 2011年2月6日 08:12 ]

大相撲・八百長疑惑

 浪速の街に春を告げる触れ太鼓はついに鳴らないことになった―。3月の大相撲春場所中止の方針が伝わると、「景気が悪いのでぜひやってほしい」と気をもんでいた開催地・大阪の相撲関係者には落胆が広がり「国技の看板を下ろしたら」とやゆする声も上がった。

 春場所会場の大阪府立体育会館(大阪市浪速区)周辺。入場券販売や観客への接客をする「相撲茶屋」にまかないの漬物などを納品してきた食料雑貨店主の永野金三さん(77)は「もう相撲には期待しなくなった」と言い捨てた。「国技である以上は真剣勝負でやらなければ。国技の看板を下ろしたら」。居酒屋を経営する木村浩之さん(39)は冗談めかして話した。

 力士や親方ら相撲関係者が街を行き交い、太鼓の音が響き渡る3月の大阪。選抜高校野球も重なり、大阪は春が一番盛り上がると言われるだけに経済にも大きな影響は避けられそうにない。

 相撲茶屋の損失は必至だ。関係者は「一度お客さんが逃げてしまえば二度と戻ってこない。商売が上がったりで、来年やればいいという問題ではない」と肩を落とした。

 長年にわたり力士の世話をしてきた関係者も複雑な心境。時津風部屋が宿舎にしている大阪市内の神社は「一部の力士の不祥事でまじめにやっている力士も同じように見られるのはかわいそう」と同情した。

 二所ノ関部屋が宿舎とする大阪府茨木市の寺は「お相撲さんが来なくなったら、併設している幼稚園の園児が遊んでもらえず寂しがるかもしれない」と話した。

 体育会館ではこの日、前売り業務を担当するはずだった日本相撲協会関係者が手持ちぶさたな様子で待機。記者の質問には「広報を通しても取材は受けない」といらだちを隠せなかった。

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2011年2月6日のニュース