白鵬 3人の“オヤジ”に贈る6連覇!

[ 2011年1月23日 06:00 ]

<大相撲初場所14日目>白鵬(上)は把瑠都をすくい投げで破り優勝を決める

大相撲初場所14日目

(両国国技館)
 横綱・白鵬(25=宮城野部屋)が大関・把瑠都(26=尾上部屋)をすくい投げで下し、大鵬に並ぶ史上2位タイの6連覇を達成した。これで優勝は18度目となり、昨年末に師匠に復帰した宮城野親方(元幕内・竹葉山)にも初めて優勝をプレゼント。横綱在位勝利数も、過去最速の22場所目で区切りの「300勝」に乗せた。
【取組結果


 3人の“オヤジ”に贈る、格別の味がする優勝だった。唯一の1敗だった白鵬は得意の右四つから勝機をうかがい、絶妙のタイミングで把瑠都をすくい投げ。取組前に隠岐の海が3敗に後退したため、千秋楽を前に6連覇を達成した。

 「本当のオヤジを超えて、角界のオヤジに並んだ。そういう気持ち」

 本当のオヤジとはモンゴル相撲で5連覇を達成した父・ムンフバトさん。角界のオヤジとは現役時代に6連覇を2度記録した元横綱・大鵬の納谷幸喜さん。そしてもう1人、昨年末に6年ぶりに師匠に復帰した宮城野親方も白鵬にとってはオヤジだ。過去17度の優勝はいずれも現宮城野親方が部屋付き親方だった時のものだけに「育ての親に賜杯を抱かせてあげる。これ以上の幸せはない」とさまざまな意味を持つ18度目の優勝をかみしめた。

 角界のオヤジ、納谷さんには4年前の横綱昇進時に「宿命」という言葉を贈られた。付け加えて「横綱になったら引退することを考えろ」とも言われた。もう上に番付はない。弱くなれば存在する価値がない――という“横綱道”を教え込まれた。今場所中にも電話で連絡を取り、6連覇へ臨む心構えをアドバイスされていただけに「残り1日集中して取り切って、あらためて報告しにいきたいですね」と感謝の気持ちを伝えにいくつもりでいる。

 もう1人の日本のオヤジ、宮城野親方には「親孝行」の思いで優勝をささげた。15歳で来日した際、誰にもスカウトされなかった白鵬は、帰国前夜に宮城野親方に拾われた。体重68キロだった自分を横綱にまで育ててくれた。昨年10月には白鵬が観光大使を務める北海道滝川市を訪問する際「いい温泉があるので親方も来てください」と誘うなど恩返しをしたい思いは強く持っている。そのオヤジが師匠に復帰して迎えた今場所。絶対に優勝しなければならなかった。

 過去の大横綱を差し置いて、22場所目という最速で横綱在位勝利数を300とした。「まずはこれで、という思いがあるし、次は何も考えていない」。来場所は朝青龍が記録した史上最多の7連覇に挑む。オヤジたちへの感謝の気持ちを忘れずに。

 ▼放駒理事長(元大関・魁傑) 横綱は強いと言うしかない。最後は凄かった。大きな把瑠都を振り回していた。6連覇は実力者だから不思議ではない。場所中に風邪をひいても、しっかりと(横綱の)責任を果たしたのは大したもの。

 ▼元横綱・大鵬の納谷幸喜氏 白鵬おめでとう。今場所、相撲の流れは良かった。稀勢の里に負けたが、その後は反省して、気を引き締めたように見えた。白鵬にとって6連覇は通る道なのだから、達成して当然だ。まだまだ若いから、7連覇でも8連覇でも成し遂げる可能性は大きいでしょう。

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