場内歓声に応えた!魁皇100度目“給金”王手

[ 2011年1月19日 06:00 ]

稀勢の里(左)をはたき込みで下す魁皇

大相撲初場所10日目

(1月18日
両国国技館)
 大関・魁皇が関脇・稀勢の里をはたき込んで7勝目を挙げ、史上最多記録を更新する通算勝ち越し“100場所”まであと1勝とした。千代の富士が持つ史上1位の通算1045勝にもあと12勝に迫ったベテラン大関の奮闘ぶりに、ファンからはこの日一番の声援が飛んだ。横綱・白鵬は関脇・琴奨菊を突き落としで下し、ただ1人の全勝をキープ。1敗の把瑠都と琴欧洲の2大関がいずれも平幕に敗れたため、優勝争いは10日目にして早くも“2差”がついた。

 まだまだ底力では38歳の魁皇が上だ。大関候補との呼び声高い24歳の稀勢の里に一気に土俵際まで押された。しかし、長年の土俵生活で培われた相撲勘でタイミング良くはたき込み。これで今場所7勝目。区切りの通算100場所目の勝ち越しに王手をかけたが「内容が良くない。きのうもきょうも引いてしまったから。前に当たっていきたいんだけど」と顔色ひとつ変えなかった。

 「思いっきりはたいたからかな…」と取組中に右肩に痛みが走ったそうで、土俵下では苦もんの表情を浮かべた。支度部屋では両ひざ、右肩へのアイシングが欠かせない満身創いの状態だが、若手の挑戦をはね返せているうちは現役生活にピリオドを打つつもりはない。先場所、白鵬の連勝を止めた稀勢の里に対しては4連勝中。今場所は栃煌山、豊ノ島、琴奨菊ら日本人大関候補を全て倒してきた。

 人気面でも角界を支えている。館内で売られている力士弁当の中で魁皇の弁当が1番人気。横綱・白鵬に4大関、そして人気の高見盛と6種類が売られているが、担当者は「魁皇関の弁当は20~30個売られているが今場所から真っ先に売り切れるようになった。増販も検討中」と説明。館内でも「感動をありがとう」という応援ボードを掲げるファンがいるなど、入場者が少ない中でも一番の声援が送られている。

 所属する友綱部屋は建設中の東京スカイツリー(東京都墨田区)から約400メートルと、目と鼻の先の位置にある。それだけに友綱親方(元関脇・魁輝)は「こうなったら来春のスカイツリーの落成式に現役で参加できるように頑張ってほしい」とエールを送る。史上1位の1045勝まで残り12勝。“若手には負けてはいられない?”と聞かれても「そんなことない。同じ気持ち」と答えたベテラン大関。体が動く限り、目の前の1勝に全力を尽くす。

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