日本32年ぶりメダル!米国に逆転勝ちで銅

[ 2010年11月15日 06:00 ]

<世界バレー女子3位決定戦 日・米>ついに32年ぶりのメダル獲得。歓喜の輪を作る選手の背後には日の丸が

 ニッポンが32年ぶりの表彰台で復活ののろしを上げた。女子バレーボール世界選手権最終日は14日、国立代々木競技場などで行われ、3位決定戦で世界ランク2位の米国と対戦した日本は、セットを先行される苦しい展開も、エース木村沙織(24=東レ)、途中出場の石田瑞穂(22=久光製薬)らの活躍で逆襲。フルセットの末に3―2で強豪を振り切り、銅メダルを獲得した。世界選手権のメダルは78年大会以来32年ぶり。真鍋政義監督(47)の就任2年目で、12年ロンドン五輪へ向け大きな一歩を踏み出した。決勝はロシアがフルセットの末にブラジルを破り、2大会連続7度目の優勝を果たした。

 最後はレフトに上がったボールを木村がこん身の力でスパイクした。ブロックアウトと同時に、1万2000人の大観衆の前に広がる歓喜の輪。78年大会以来、実に8大会ぶりとなるメダル獲得。最終セットだけで8得点を挙げたエースは「先行されると苦しいけど最後まで攻められた」と胸を張り「大会最後の試合で、全員が必死でつないだボールを、絶対に決めようと思った」と声を震わせた。

 第1セットは18―25。だが、チームは冷静だった。「切り替えが早かった」とセッター竹下。第2セットは前日チーム最多得点を挙げた江畑を途中で石田に交代。第4セットからは出番の少なかった荒木主将をスタメンで投入した。石田がチーム2位の11得点。荒木はサーブで最終セットの連続得点を生んだ。2時間19分の逆転劇を演出したのは、文字通りの総合力だった。

 「ベンチにいる選手だけじゃなくて、全員が同じ気持ちで戦えた」。声をそろえた選手たちの裏には、真鍋監督が持ち込んだち密なデータバレーがあった。指揮官は徹底的に相手を分析し、試合中にもiPadを手放さない。その成果を証明したのが、最終セットの9、10点目だった。「山本の決定率が高かった」(竹下)上に、相手ブロックに強打は不利と分析し、山本が連続フェイント。「数値で示されるから説得力がある」(山本)ことで、投入された選手も外された選手も納得して動く。指揮官への信頼の下、一丸となるのは当然だった。

 「今年の目標はこの大会のメダル。それを果たせてホッとした」。就任1年目の昨年は“世界を知る年”。2年目の今年を“世界に勝つ方法を探る年”とした指揮官は「あくまで最終目標は12年のロンドン五輪。でも、この3位で選手が“勝てるんだ”と思ったことが一番大きい」と手応えを口にした。かつて世界を席巻した日本のバレーは、世界中に広がり、日本を表彰台から追いやった。だが、速いバックアタック、攻撃的なサーブ、伝統のレシーブという武器をひっさげ、日本は帰ってきた。雌伏の時は終わりを告げる。本当の至福の時は、遠い未来ではない。

続きを表示

2010年11月15日のニュース