稀勢の里「あれっ、あれっ」と相撲史に残る大仕事

[ 2010年11月15日 20:17 ]

 【大相撲九州場所】日本人ホープと言われ続けながら、期待を裏切ってきた男が、相撲史に残る大仕事をやってのけた。稀勢の里が白鵬を力強く寄り切って連勝を63でストップさせた。「(最後まで)勝てるとは思わなかった。あれっ、あれっという感じだった」。上気した表情で、殊勲の瞬間を振り返った。

 白鵬の出足をこらえると、突き、押しの応酬。ここで冷静さを維持し、これまでの反省を生かした。「いつも体が離れたところで右から張って、体勢を悪くしていた。そこで我慢して右(上手)を取れた」と説明する。
 白鵬の力任せの張り手をかいくぐって得意の左四つ。右上手をがっちり引くと、横綱のなりふり構わぬ左すくい投げや内掛けを腰を落としてしのぎ、休まず寄り切った。「勝ち名乗りを受けてやっと勝ったという感じ。でも実感が出るまでには時間がかかりそうです」と、興奮冷めやらぬ口調だった。
 大関候補と評されながら、最近は2場所連続で負け越して平幕に落ちるなど影が薄かった。71年前、双葉山の70連勝を阻んだのは、稀勢の里と同じ24歳の安芸ノ海。その後、安芸ノ海は横綱に上り詰めた。双葉山の時代とは違い、外国勢隆盛の昨今。茨城県出身の稀勢の里は「これを何かのきっかけにしたい。自信になればいい」と、言葉に力を込めた。

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2010年11月15日のニュース