小出門下生で原が再出発!引退の危機脱し復活V

[ 2010年8月29日 18:14 ]

2時間34分12秒で優勝した原裕美子

 北海道マラソンは29日、札幌市の中島公園から大通公園までのコースで男女同時スタートで行われ、女子は2005年、07年世界選手権代表の原裕美子(ユニバーサルエンターテインメント)が2時間34分12秒で初優勝した。成績は来夏の世界選手権(大邱=韓国)代表の選考材料となる。京セラから移籍して初のレースだった原は、2位になった宮内宏子(京セラ)との争いで32キロ手前から抜け出した。那須川瑞穂(ユニバーサルエンターテインメント)が3位になった。男子はケニア出身のサイラス・ジュイ(日立電線)が2時間11分22秒で初優勝した。

 再起をかけた夏の過酷なマラソンでも勝負勘は鈍っていなかった。32キロ手前の上り坂。原は「野生の勘みたいなものが働いた」とスパートを仕掛け、粘る宮内宏を引き離した。本格的な練習を始めて4カ月半で「どこまで脚が持つかな」と不安が胸をよぎったが、ほおを紅潮させて走った。
 「過去の実績を捨て、ゼロからの再出発」と挑んだ。40キロ付近で2005年に初マラソンで優勝した時から愛用するサングラスを外すと「新しい自分を見てほしい」と力がわいた。約1年半ぶりのレースだった28歳は右の人さし指を立て、復活のゴールに飛び込んだ。
 昨春、京セラを恩師と一緒に退社した。だが新天地に移る計画がうまく運ばず、独りぼっちに。栃木県の実家で「孤独と限界を感じた」と引退も考えたときに出会ったのが、名伯楽の小出義雄氏だった。
 今年1月に小出氏のチームへ移籍。一時10キロも増えた体重を落とした。「ロンドン五輪も目指したい」と目を輝かせる教え子に、小出氏は「練習で弱いけど試合で強い。有森タイプだな」と豪快に笑った。

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2010年8月29日のニュース