「これだけはやり遂げたい」小掛氏「最後の夢」果たせず

[ 2010年5月10日 10:27 ]

死去した小掛照二氏

 「最後の夢」と表現し、東奔西走してきた日本オリンピック委員会(JOC)主催の東京ハーフマラソンの実現を見ることはなかった。晩年の小掛氏は入退院を繰り返しながら、衰えぬ情熱で「これだけはやり遂げたい」と目を輝かせていた。

 日本体協が創立100周年を迎える来年の「体育の日」に合わせ、小掛氏はチャリティー活動を含み、社会貢献につながるハーフマラソンを実施する計画を進めてきた。五輪選手の協力も仰ぐイベントの構想を語る表情は真剣そのものだった。JOCの市原専務理事は「マラソン強化が口癖で執念を感じた。最後まで競技人だった」と振り返る。
 選手として栄光と挫折を味わい、日本陸連の強化責任者としては物議を醸した五輪代表のマラソン選考で何度か批判の矢面にも立った。「嫌がらせの電話をよく受けたものだよ」と苦笑したが、信念は曲げなかった。日本陸連の沢木専務理事は「あの方の情熱と使命感、一筋の生きざまには薫陶を受けた」と言う。
 ハーフマラソン実施には東京マラソンとの兼ね合いや交通規制で警視庁の許可など懸案も残る。しかしJOCの竹田会長は「ご遺志を受け継ぎたい」と静かに語る。「最後の夢」の実現に向けた動きは続く。

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2010年5月10日のニュース